【降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅱ (ページ15)

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憩い2 ページ15

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-降谷零 side-

組織から与えられた任務を終えて、公安に戻るなり報告書をまとめる。長期の任務だったため、報告書はかなりの量となった。報告書をまとめる間も上からの任務が与えられ同時にこなしていく。この仕事が終われば久しぶりに家へ戻れるため、公衆電話から莉子に電話をして会う約束をした。以前、約束を破ってしまったので今回は約束を守ららなければと言う使命感に駆られ、気づけば三徹をしていた。

(これで帰れる…久しぶりに疲れた。あぁ、腹減った…)

データを保存し、凝り固まった体を伸ばしてから帰り支度をする。空腹に耐えつつオフィスを出て、エレベーターに乗り込み、鏡を見ると疲れた顔をした自分が写し出されていた。深くため息をつきながら壁に体を預けて莉子を思い浮かべる。

(…今何してるのだろうか)

警察庁を出て、莉子に会いたい一心で自宅へ向けて車を走らせた。家に到着し、鍵を空けて玄関のドアを空けると、夕食のいい匂いが漂っていた。匂いで今日のメインメニューが分かり、早く食べたい衝動に襲われる。靴を脱いで家の中に入ろうとしたら、リビングから莉子が駆け寄ってきて《おかえり》と自分を出迎えてくれた。

「……ただいま」

笑顔で出迎えてくれた莉子を何も考えず力一杯抱き締めた。お風呂やご飯よりもまずは莉子。《もう少しこのまま》と言いながら珍しく甘えてみる。

疲れて帰ってきたら、家で大切な人がご飯を作り待っていてくれて、ただいまと出迎えてくれた。自分が思い浮かべた光景が現実となったが、考えているよりもずっといいものだと感じる。

どれ程時間が経ったかわからないが、腕の力を緩めて莉子から離れれば軽く唇を重ねた。

「今日は鯖の味噌煮？」

『正解です』

「腹減ったから、先にご飯食べてもいいか？」

『もちろん！ご飯準備しますね』

再びリビングの方へ戻っていく莉子の背中を見つめながら、自分は寝室へ行きスーツからラフな服装に着替える。自分もリビングに戻りダイニングテーブルに並べられた夕食を見て更に食欲がそそる。

「いただきます」

『どうぞ』

なんだかんだで、莉子の手料理は初めてだったが、とても美味しかった。頑張って練習していたと言っていたが、更に愛おしさが増す。

食事が終わって、お風呂からも上がり落ち着いたら莉子と将来を見据えた話をしよう。