scene.82 ページ33
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ユンギくんが来たらしい物音に目を覚ます。
彼はソファーにいて、眠っていた
ふとテレビを見ればそこには枕元に置いてしまったままだったはずの写真とビデオ。
再生された後があって、
「…見られちゃったか、…」
隠してた訳では無いけれど。なんでかソクジンくんとの秘密にしておきたかったのも、また本心で。
私が起き上がったことに気がついたユンギくんが目を開けて、口を開いた
「___美しいな、」
「…ぇ、」
「その映像。今までのAさんの作品の中で、一番、美しいと思った……その証拠に見ろよ、普段、俺はこんなん、ならないんだからな、(笑)」
「……泣いたの?」
「単純に美しかったからってのもあるけど、ま、別の感情のせいもある(笑)」
「別の、?」
「それより具合は?熱計ったのか」
「あ、うん、もう平気そう」
「“そう”じゃなくて平気にならないと意味ないって(笑)」
「…はぁい、」
2人でくすっと笑い合うと、ユンギくんが起き上がってテーブルの椅子に腰かけた
「……俺は、ヒョン見たく綺麗でもないし、だから素直にヒョンの顔立ちの美しさは認めてるつもり」
「…ユンギくん?」
「でもそんなんじゃなくて、この映像はヒョンがヒョンらしく、そして震えるほどの美しさを突きつけられた。それから、Aさんの情熱と、ヒョンへの愛情も。」
「……、」
「どういう経緯でこうなったのかは俺は知らねーけど、なんとなく察したから聞いていいか?」
こくんと頷くと
「___最後。」
「?」
「最後のつもりで撮った、違うか?」
やはりさすが、同じ作り手として、よく見抜いてる…(笑)
「…うん。これを撮って、編集し終わったら、この世界から居なくなろうと思ってた」
「けど今もこうして続けてる」
「…うん、」
「何がそうさせた?ヒョンか?」
「ううん、違うの。確かに私は今までこの時のソクジンくん以上に美しいと思えたモデルに出会えたことがない……。今はきっと、飢えてるの…私が、枯渇してる…」
「…」
「どんなことがあってもこの人を撮りたい、自由に、好きなように、そう思って仕事ができるために、大きくならないといけないと思った……」
それにソクジンくんがこう言ったの
『AはA。カメラがあってもなくても、君は君だからね』
「いつでも辞められる、そう思ったらやっぱり手放せなかった。理解してくれる人を見つけたから」
「…大学時代、ヒョンのこと…」
「うん、…好き、だったよ、とっても__」
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mila.(プロフ) - xts9cp5sUjUGJbjさん» 感想ありがとうございます。私も実はこの作品が気に入ってるんです笑 この作品を愛読してくださり、ありがとうございました! (2021年10月5日 17時) (レス) id: 1554483eb9 (このIDを非表示/違反報告)
xts9cp5sUjUGJbj(プロフ) - とても…とても綺麗なお話でした。作者様の言葉選びなどがとても魅力的で、物語に吸い込まれるようでした。とても素敵な作品に出会えて幸せです。これからも応援してます、 (2021年10月1日 2時) (レス) @page50 id: a176559be4 (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - ももさん» ももさん、嬉しいコメントありがとうございます。「素敵な時間」を提供できたとしたら本当によかったです。これからも一緒にバンタンを応援できたら嬉しいです (2021年9月5日 14時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 美しい文章、と素敵な時間をありがとうございます。 (2021年8月30日 12時) (レス) id: 7a7f3f1d7f (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - まる汰さん» まる汰さんコメントありがとうございます。書いてから随分経ってもなおこうして読んでもらえて嬉しいです。ジンくんの宝石箱、、美しい表現をありがとうございます。なんだか染み入ります(笑) (2021年6月28日 20時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mila. | 作成日時:2019年11月29日 12時