真夏の白鳥 2 【BTS】

scene.73 ページ24

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「それで2つ作ったんですか?」

とジョングクくん

「うん。どちらも丁寧に、どっちかを贔屓してとか、そういうことはしてないよ。本当に純粋な思いで2つ作品を作ったの。」
「そしてそれを…」




うん、教授陣に見せた＿＿＿＿＿＿




“……。”

拳を握りしめて、映像科の5人の教授(助教授含め)に2作品を見せ終わると、数秒の沈黙の後に1人が口を開いた







“……こっちね。最初のは学期末の課題になさい。『秀』あげるから”

“僕もそう思うよ。後者がいい。ま、君らしさ全開ではないが受けはいいだろう”

“所詮はコンペだからね。勝ってなんぼ。君にはその才がある訳ですし、世界的なアーティストになれるんだから”＿＿＿＿＿







「それってつまり……」
「…うん。後者の方、やっぱり、私が私らしく表現した作品は、コンペ向きに相応しくないとまでは言われなかったけれど、名を上げてからにしなさいと言われたの…」

ジョングクくんがくっと息を飲んだところで「お待たせ致しました。本日のメインでございます」と給仕が美しいお皿を運んできて


「…おいしそう。ありがとう、ジョングクくん。こんなに美味しいお食事、久々よ」
「え、そんな、」
「きっと貴方と食べてるから…」
「！」
「…ん、！おいしぃ…」


ふふと笑いかけると、「だからあまり可愛すぎることしないで」と彼も笑った



「…僕はAさんが好き。」

真っ直ぐ、綺麗な瞳。

「それは見た目も、中身も、作品も、全てだからね。」

「……もったいない言葉だね、私なんかには…(笑)」
「そうやって卑下されると、僕の想いまで捨てられた気がするんですけど？(笑)」
「ご、ごめん、そういう意味じゃなくって…!」
「あは、わかってますよ、冗談ですー(笑)」



＿＿＿＿＿そうして私のコンペへの出展作品が決定した



どちらも同じくらい気に入ってる作品で、思い入れのあるものだけれど、本心では1本目を選んで欲しかった…

"……醜い、…”


よたよたと歩きながら、瞳を閉じて空を仰ぐ


"…こんな世界、美しくなんてない…"


『貴女にはコンペで優勝できる価値があるの』
『優勝こそが』
『世界的なアーティストに!』


"……要らない、よ…"



ぽつ、と呟いて芝生に寝転がる
さわさわと夏の風が頬を撫でた。ああ、美しい風。私はゆっくり瞳を閉じて全身で風を感じたその時

「！」

横に同じように寝転ぶ気配がして、それが誰かなんて聞かずともわかったから、ゆっくり口元が緩んだ

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