scene.74 ページ25
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ジンside
「それで?ヌナの横に寝転んでどうしたんです?」
その日がコンペの出展作品が決定する日だって知ってた僕は、ずっと気掛かりで仕方なくって、それで1人、芝生に行こうとしたら目の前にAが寝転ぶのが見えた
「……何も。」
「え？」
「…何も言わなかったよ、(笑)」
＿＿＿＿＿そう、隣に寝転んで、ただ同じように目を閉じた
風で葉が揺れる音。自分の鼓動。
ゆっくり右手を、彼女の左手に乗せる
“……きもちいね、今日。”
Aが小さく呟いた
“うん。サイクリングとかしたら気持ちいいかもね”
“サイクリングかぁ…”
悪くないかも、とふわりと笑ってAは上半身を起こした
“??”
僕も同じように起き上がって、真っ直ぐ前を見つめるAの横顔を眺めた
＿＿＿＿ヤー、本当に綺麗な顔…
ぱちんぱちん、と瞬きする度に長いまつ毛が揺れた
そしてきゅっと。繋がれた僕の右手に力が込められてハッとする
“…A？”
今日が何の日か、僕は知ってた。だから、Aが結果を話すまでは自分からは聞くまいと思ってた
そしてAは真っ直ぐ前を見つめたまま、ほんのり笑って、僕の手を握りながら
“！”
つぅ、と
頬に涙を一筋流した＿＿＿＿＿＿
「そ、それって…」
「うん。…僕はそれで察知したんだ、きっと
「つまりそれは…ヌナがヌナらしく作ったんじゃない方の作品が選ばれたってこと？」
「…うん、」
＿＿＿＿＿流れる涙さえも宝石のように美しかった
僕はそっと指でそれを拭ってやると、Aはぐにゃりと顔を歪めて
“…これが私の生きる
と震える声を絞り出した
“カメラなんて、映像なんて、…もう、作らなくていい…っ、有名なアーティストなんて要らない、そんな肩書きが欲しくてやってる訳じゃない、ただ美しいものを撮りたかった、それだけなの……っ”
そっ、と肩に触れハンカチを差し出す
本当は抱き締めてやりたかったけれど、それは出来なかった
“…ソクジンくん、私決めてたの。”
“え？”
“もし2つ目の作品が選ばれたら、もうカメラを手放そうって…”
“な、!?”
“…必要ないもん、天才児なんて呼ばれるのも、コンペで勝つことも…”
“……じゃあ、さ、”
“？”
“最後に、僕のこと撮って。”
“え＿＿？”
“Aにしか撮れないキム･ソクジンを、撮って欲しい”
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mila.(プロフ) - xts9cp5sUjUGJbjさん» 感想ありがとうございます。私も実はこの作品が気に入ってるんです笑 この作品を愛読してくださり、ありがとうございました！ (2021年10月5日 17時) (
レス) id: 1554483eb9 (このIDを非表示/違反報告)
xts9cp5sUjUGJbj(プロフ) - とても…とても綺麗なお話でした。作者様の言葉選びなどがとても魅力的で、物語に吸い込まれるようでした。とても素敵な作品に出会えて幸せです。これからも応援してます、 (2021年10月1日 2時) (レス) @page50 id: a176559be4 (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - ももさん» ももさん、嬉しいコメントありがとうございます。「素敵な時間」を提供できたとしたら本当によかったです。これからも一緒にバンタンを応援できたら嬉しいです (2021年9月5日 14時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 美しい文章、と素敵な時間をありがとうございます。 (2021年8月30日 12時) (レス) id: 7a7f3f1d7f (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - まる汰さん» まる汰さんコメントありがとうございます。書いてから随分経ってもなおこうして読んでもらえて嬉しいです。ジンくんの宝石箱、、美しい表現をありがとうございます。なんだか染み入ります(笑) (2021年6月28日 20時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mila.
| 作成日時：2019年11月29日 12時
