八、好みの人物像 ページ9
「此の子は、Aちゃんの子供?」
無事に服を揃え、ナオミに抱っこされているA。
「いえ、椿A本人です」
・・・。
暫しの静寂が起こる。
「もっ、もう一度頼む」
「本人です」
その後、探偵社に驚きの声が響いた。
*
「そうか、この瓶の中身は幼児化する液体だったのか」
昨日、Aが飲み干した瓶を眺める。
「ねぇ、Aちゃんは、年上と年下どっちが好み?」
Aは、椅子に座って質問を受けている。
「としうえー」
ほぼ全員、チラリと潤一郎を見る。
「じゃあ、どんな人が好み?」
「えっと、優しくて」
うん、と頷く。
「お金持ちの、」
少しの間があって頷く。
「石油王か、サンタクロース!」
『石油王』と『サンタクロース』発言に、また暫しの静寂。
現実的なんだが、現実的じゃないんだか。
夢があるのか、無いのかよく分からない回答。
全員潤一郎に、哀れみの眼差しを送り、項垂れてしまう潤一郎。
「ほら、理想と現実は違うって言うじゃありませんか。
現に、兄様と付き合っているわけですし・・・」
「でも、ボクよりも、女性優先しているし・・・」
フォローに入ったが、余り効果が無く、悪化している気がする。
「何で、あの二人付き合っているんですかね?」
「俺に聞くな、俺だって知りたいくらいだ」
潤一郎とAが何故付き合っているのか、よく分からない敦だった。
*
「なんで、わたしはここにいるの?」
「えっと、それは・・・」
曇りのない瞳で、潤一郎を真っ直ぐ見上げる。
「どうしましょう。一旦、家へ送り返したほうが、いいのかしら?」
Aから少し離れた所で、話し合いが行われる。
「いや、一寸前まで、十九の娘がいきなり、七、八の子供に戻ったら、驚きもんだよ。
いくら、異能力に理解があるといえど・・・」
「谷崎が椿の面倒を見れば、いいんじゃないか?」
チラッとAの方に向けば、駄菓子を与えている珍しい光景は見えた。
「ナオミおねぇちゃん」
キラキラした瞳で、駄菓子を握り締め、ナオミの足元に抱き着く。
「懐かれているねぇ〜」
ナオミも満更でも無さそうで、足元のAを抱き上げる。
嬉しそうに、笑いながら、ジャンプして、今度は与謝野に抱き着く。
「やっぱり、幼児化してもAはAだねぇ」
女性陣には、抱き着いたりしているが、余り男性陣には懐いてくれないAであった。
しまいには、
「わたしは、おねぇちゃん達といっしょにいる!メガネのおじさんは絶対に嫌!!」
と国木田に言う始末である。
116人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
麗(プロフ) - 10ページ 読んでみる ではなく 呼んでみる ではないでしょうか? (2021年4月13日 0時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - みほさん» すいません。そういう仕様と思ってください。ちょこちょこ直したので違和感が少なくなっているといいのですが・・・。 (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - 凰朧月鬼華さん» 改行を増やしてみました。見やすくできるように頑張ります。 (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - 塩キャラメルさん» 遅くなりすいません。少し空白を入れ、改行を加えてみました。少しは見やすくなったでしょうか? (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
みほ - 句読点の入れ方が独特ですが、そう言う仕様なんでしょうか?読んでいるときに引っ掛かって違和感があったので…。わざとそうしているのであればすいません。 (2018年2月8日 17時) (レス) id: 605cea03c8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:柚湯 | 作成日時:2016年12月11日 4時