六、甘い苺味 ページ7
探偵社のドアを開けるが、人があまり来ていない。
Aの手には、潤一郎のパーカーとクッキー缶が入った袋。
昨日のお礼のつもりで、買ってきた物だ。
椅子に腰かけ、机に物を置く。
引き出しを開けると、幾つものお菓子が入っている、今日は、飴の袋に手を伸ばす。
五、六個取り出し、赤い包み以外はパソコンの近くに置く。
包みを破き、飴玉を口に含めば、甘い苺の風味が口に広がる。
実際の苺とは少し違う飴独特の味が堪らない。
*
「おはようございます」
探偵社のドアが開き、入ってきたのは、谷崎兄弟。
「おはよう」
パーカーと袋を持って立ち上がり、潤一郎に手渡す。
「あら、Aさん。苺の匂いがしますわ」
少し前に溶けてしまい、口に残っていないのだが、香りはまだするようだ。
「飴舐めてたんだよ。何ならあげるけど、何味がいい?」
「なら、葡萄がいいですわ」
「取ってこよう」
軽い足取りで、引き出しを開ける、
袋の中身を全部出す。
残りは少なかったが、葡萄は、まだ二個残っていた。
二個とも掴み、ナオミの手に握らせる。
「今日も、やっぱり滑々だね」
ごく自然に手の甲を撫でるが、少し変態チックだ。
「潤一郎君は、何がいい?」
堪能したのか、ナオミから手を放し、潤一郎の方へ向く。
「じゃあ・・・・苺味」
机には、苺の飴が一つも無く、さっきAが食べたので最後だったようだ。
仕方なく、他のお菓子の苺味を出そうと、また引き出しを開け、探す。
探した所、ラムネ菓子の苺味しか無かった。
「潤一郎君。苺は絶賛売り切れ中で、ラムネしかないけど、いい?」
「苺の飴欲しかったンだけどなぁ」
少し、悲しそうにする潤一郎が可哀想に見えてきて、
「なら、今すぐ買ってこよう。何私の異能なら、あっと言う間だよ」
異能を発動しようとするAの腕を引っ張り、唇に軽くキスをする。
目を見開くAとニヤニヤと光景眺めるナオミ。
ゆっくり、唇を放し、
「言ったでしょ?男は狼なンだって」
普段のヘタレは何処行ったと言いたい位、男前に微笑み、
机から、ラムネ菓子を取った。
「潤君のばか・・・」
何時もより顔が赤いが、嬉しそうにも見えた。
「兄様やりましたね。この調子で既成事実も作ってしまいましょう」
興奮しながら、言うナオミと、今になって恥ずかしさが込み上げて来た潤一郎。
その後、社員に見られており、盛大に
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麗(プロフ) - 10ページ 読んでみる ではなく 呼んでみる ではないでしょうか? (2021年4月13日 0時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - みほさん» すいません。そういう仕様と思ってください。ちょこちょこ直したので違和感が少なくなっているといいのですが・・・。 (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - 凰朧月鬼華さん» 改行を増やしてみました。見やすくできるように頑張ります。 (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - 塩キャラメルさん» 遅くなりすいません。少し空白を入れ、改行を加えてみました。少しは見やすくなったでしょうか? (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
みほ - 句読点の入れ方が独特ですが、そう言う仕様なんでしょうか?読んでいるときに引っ掛かって違和感があったので…。わざとそうしているのであればすいません。 (2018年2月8日 17時) (レス) id: 605cea03c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚湯 | 作成日時:2016年12月11日 4時