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四十、花粉症は辛い ページ48

「ティジュー取っで」
鼻声で、テーブルに置いてあるティシュケースを指す。
渡されたケースから二、三枚取って鼻をかむ。
丸めたティシュをゴミ箱に投げ入れるが、角に当たり外れる。
「ちぇ」
ゴミ箱に近寄って、入れ直す。
ゴミ箱の中身は殆どティシュで埋め尽くされている。
「ちり紙業界はこの時期、大儲けですなぁ〜」
ズズッと鼻を啜る。
「ナオミちゃんは、花粉症に成ってないの?」
「うん、平気みたい」
「そっか、いいなぁ。私なんて目も痒くてね・・・」
よく見れば、目が若干赤い。
「目薬は・・・嫌いなンだっけ?」
頷き、また鼻をかむ。
投げると今度は中に入った。
ティシュの残りが少なくなってきた。
もういっそトイレットペーパーにしてみようか。
「新しいティシュ取ってこようか?」
「いい、トイレットペーパーにする」
口を尖らせ、拗ねた様に言う姿が何だか何時もより可愛らしい。
「だーもう、目ェ痒い!!」
一度掻き出すと止まらなくなると分かっているが掻いてしまう。
「痒い時程掻いちゃダメ!」
掻き続けているAの手を掴む。
「潤ぐん・・・」
赤く潤んだ目に、透明な雫が睫毛に乗る。
ほんのり赤くなった鼻に啜る音。
「前テレビでやってたけど、一時的に花粉症を楽にする方法が、キスって本当?」
「あぁ、やってたね。でもあれって効くのかな?」
「試してみる?」
余り見せない扇情的な顔。
何時もと違う表情に一寸、ドキッと来る。
フフッと小さく笑い、ゆっくり目を閉じる。
潤一郎も目を閉じて、唇を近づける。
紅くなる頬に熱が帯びた。
触れるか触れないかの距離まで来た時、突然音楽が鳴る。
静かだった今には、何時もだったら気にならない音量でも、しっかり響く。
「この音楽はAちゃんの・・・」
タイミング悪く掛かって来た電話に出る。
『もしもし、俺だか』
掛けてきたKYはAの従兄だった。
『たった今、嫌な予感がして掛けたんだけど、真逆〈まさか〉と思うが彼奴と接吻しようとしなかったか?』
思わず携帯を落としそうになる。
ピンポイント過ぎる、従兄の察知力に驚愕する。
『如何なんだ!?Aちゃーん!!』
「凪兄さんは、牧場行って馬に蹴られて来るといい・・・」
と言って、一方的に切った。
「流石、Aちゃんの従兄だね」
「やっぱり、嬉しくないよ!」
垂れそうになったので、慌ててテッシュを取る。
また何かあったら、掛けてくるんじゃないかと思いながら鼻をかむ。
着拒にする事に決めた。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 谷崎潤一郎   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 10ページ 読んでみる ではなく 呼んでみる ではないでしょうか? (2021年4月13日 0時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - みほさん» すいません。そういう仕様と思ってください。ちょこちょこ直したので違和感が少なくなっているといいのですが・・・。 (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - 凰朧月鬼華さん» 改行を増やしてみました。見やすくできるように頑張ります。 (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - 塩キャラメルさん» 遅くなりすいません。少し空白を入れ、改行を加えてみました。少しは見やすくなったでしょうか? (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
みほ - 句読点の入れ方が独特ですが、そう言う仕様なんでしょうか?読んでいるときに引っ掛かって違和感があったので…。わざとそうしているのであればすいません。 (2018年2月8日 17時) (レス) id: 605cea03c8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柚湯 | 作成日時:2016年12月11日 4時

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