三十六、判断材料は紳士的な態度 ページ42
「私が本物よ」
リボンを揺らして隣を睨み付ける。
「私こそが本物よ」
同じ声で、言い返す彼女。
この状況に谷崎兄弟は困惑している。
目の前には、同じ姿、同じ声の椿Aが二人。
瓜二つで、どっちがどっちか判らない。
「ねぇ、潤一郎君。私が本物よね？」
胸に手を当て訪ねてくる。
「ナオミちゃん。私だよね？」
こっちも同じ仕草をする。
「ど、如何しましょう・・・」
「うーん」
「本物だって証拠に、今日のナオミちゃんのパンツの色答えられるよ！」
「えっ・・・」
「偽物は置いておいて、私と一緒にお茶しよう」
スッとナオミの腰に手を置く。
ナオミがAに囲まれている様子をジッと観察する。
そもそも何でこうなったのだろうか。
確か、喫茶店で昼休憩をしていると、バイブ音が鳴った。
どうも仕事の依頼らしく、谷崎兄弟とAが行く事になった。
途中Aが、
「先行ってて」
と言って真っ直ぐ駆けだした。
そして、倉庫でAを見つけたと思ったら、ナオミも見つけ、二人になってしまった。
「やっぱり、何か違うンだよね」
何処がと聞かれると言葉が濁る、ハッキリとしたものは無いけれど、何かが違う。
あやふやな状態。
此の侭じゃ、仕事も出来ない。
片方又は両方が偽物の場合仕事を続けるのは、不味い。
若し両方偽物なら、本物は何処へ行ったのだろう。
誘拐？幽閉？何にせよ早く見分けなくては。
「取り合えず、外に出ましょうか。此処は少し暗いから、外に出れば何か判るでしょう」
「・・・そうだね」
「きゃっ」
「ナオミ！」
足元にあった、段差に気付かず、踏み外した。
潤一郎が手を伸ばすよりも速く、ナオミの影から出てくる、
「大丈夫かい？」
三人目のA。
「えぇ、助かりましたわ」
「Aちゃん、今までどこに居たの？」
「えっと、人生の酸いも甘いも知り尽くした貴婦人が、其の身に不似合いな荷物も持っていたから、エスコートしてきたんだよ」
つまり、お婆さんが重たそうな荷物を持っていたから、手伝ってきたと言う事らしい。
「そっか」
このAこそ本物だと確信した。
異能が使ったとかじゃなく、女性を語る姿と女性に対する、紳士っぷりが、Aと判断したのだ。
「で、この私を語る癖に、ナオちゃんをほっておいた、糞野郎共は如何する？」
いつの間にか、偽物のA達は縄に巻かれていた。
「水責めいっとく？」
途轍もなくいい笑顔で、サラッと酷な拷問を言う辺り、意外と怒っているみたいだ。
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麗(プロフ) - 10ページ 読んでみる ではなく 呼んでみる ではないでしょうか？ (2021年4月13日 0時) (
レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - みほさん» すいません。そういう仕様と思ってください。ちょこちょこ直したので違和感が少なくなっているといいのですが・・・。 (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - 凰朧月鬼華さん» 改行を増やしてみました。見やすくできるように頑張ります。 (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - 塩キャラメルさん» 遅くなりすいません。少し空白を入れ、改行を加えてみました。少しは見やすくなったでしょうか？ (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
みほ - 句読点の入れ方が独特ですが、そう言う仕様なんでしょうか？読んでいるときに引っ掛かって違和感があったので…。わざとそうしているのであればすいません。 (2018年2月8日 17時) (レス) id: 605cea03c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚湯 | 作成日時：2016年12月11日 4時
