三十五、真っ白に ページ41
「払っておくから」
財布を取り出し、サラッと言いのけた。
「いいの？」
「此処は男の見せ場だよ。なんてね」
何時もと立場が逆転している。
「俺は仕事に戻るよ」
会計を終わらせ出入り口のドアに向かう。
「待って、あっ」
引き留めようと、歩き出したら、運悪く足を捻った。
コケそうになった所をそっと優しく抱き留めるられる。
「大丈夫？痛い所無い？」
優雅に微笑んだ、その顔からキラッキラした何かが飛び出そうだ。
「うん、ありがとう」
Aも柔らかく微笑んだ。
＊
「うわぁ、イケメン、イッケメェンだぁ」
虚ろな顔をして呟く。
砂糖を珈琲の中に絶え間なく注ぎ込む。
「に、兄様、しっかりして下さいませ。それ以上は糖尿病恐れも・・」
「谷崎さん一寸壊れてませんか？」
チラッと見ると、こんもり注いだ珈琲をかき混ぜている。
相当甘いだろう。
「若い子は乗り換えが早いと言うしね」
そう言いながら、給仕のお姉さんを見つめる。
「其れは、お前だけだろう」
「乗り換えって、Aちゃんは其処まで尻軽じゃありません。
確かに女性となると見境ないけど、ちゃんと線引きしてるし、
いきなり語り出した潤一郎に驚く。
「何か、谷崎さん怖いです」
「あれ、皆さん如何したんですか」
さっきの声で気付いたのかAが近くに来た。
「さ、さっきの人は、知り合い？」
「あぁ、見てたんだね。そうだよ」
少し恥ずかしそうに、頬を掻く。
その表情から、他人を超えた何かだと読み取れた。
一気に言葉を失う潤一郎。
「ど、如何したの！？潤一郎君。真っ白になってるよ！？」
どっかのボクサーの様に椅子に座り、穏やかな表情で目を瞑る。
「
今、一寸だけ、「立て、立つんだ」と言ってみたいAだった。
三十六、判断材料は紳士的な態度→←三十四、気になる関係の男女
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 116人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
麗(プロフ) - 10ページ 読んでみる ではなく 呼んでみる ではないでしょうか？ (2021年4月13日 0時) (
レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - みほさん» すいません。そういう仕様と思ってください。ちょこちょこ直したので違和感が少なくなっているといいのですが・・・。 (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - 凰朧月鬼華さん» 改行を増やしてみました。見やすくできるように頑張ります。 (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - 塩キャラメルさん» 遅くなりすいません。少し空白を入れ、改行を加えてみました。少しは見やすくなったでしょうか？ (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
みほ - 句読点の入れ方が独特ですが、そう言う仕様なんでしょうか？読んでいるときに引っ掛かって違和感があったので…。わざとそうしているのであればすいません。 (2018年2月8日 17時) (レス) id: 605cea03c8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柚湯 | 作成日時：2016年12月11日 4時
