【文豪ストレイドッグス】女性博愛主義の彼女

四、願う ページ5

「与謝野先生、今日もお美しいですね」
ボブカットの髪型、蝶の髪飾りを着けた女性の手を握り締めている。
彼女は与謝野晶子。探偵社の専属医だ。
「アンタ、彼氏がいるってのに、あっちこっちに似たようなこと言ってて良いのかい？」
慣れてはいるが、毎日同じことを言われては、溜息の1つや二つ出てくる。
「大丈夫です。潤一郎君は、私の性格分かってますから。
それに私は美しいと思うから美しいと言うのです。
見返りは求めてないのです。太宰さんとは、違いますから」
手を放し、にっこり笑うと、自分のデスクへ向かい、仕事に移る。
「アンタも大変だねぇ。変わった彼女を持つと」
潤一郎は、乾いた笑い声を漏らす。
「先日、こンなことあったよ。
治療していた時だけど、あの子目をキラキラして、妾(アタシ)を見ていたんだよ。
後で聞くと、『いつもと、違った与謝野先生が、とても魅力的でしたから』って。
初めて言われたねェって返したら、『先生の初めてもらっちゃいましたね』ってニコニコしてたよ・・・」
ここで、Aらしいと思ってしまうのは、慣れたせいだろうか。慣れって恐ろしい。
「春野ちゃん。私紅茶飲みたいから、入れてほしいなぁ」
事務員の春野綺羅子に言っているA。
「偶に、思いますよ。もしAちゃんが男だったら、ハーレム作ってそうって。
本人も作りたい的なこと言ってましたし・・・」
チラッとAを見て溜息が出る。
いつの日か、男装ではなく、本物の男に成らないことを切に願う。

五、癖→←三、特別に嬉しくて、とても心地の良いもの

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