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二十九、何だかんだ言って初々しい ページ34

「ふん、ふふーん」
上機嫌で鼻歌を歌いながら、軽い足取りで歩いて行く。
ケーキが入った白い箱を手に持っている。
「ナオちゃん、喜ぶかしら?」
クスッと笑い、寮へたどり着く。
インターホンを押す前に、ドアが少し開いている事に気づく。
「不用心だね。おーいナオミちゃーん。潤一郎君。居るかーい」
ドアの隙間から、呼んでみるが、一向に返事が返ってこない。
「おじゃまします」
ドアを開けて、玄関を見れば、ナオミの靴は無いが、潤一郎の靴はある。
「ケーキ置いて帰るか・・・」
靴を脱ぎ、廊下を歩く。
箱を置いた後、一言書いておこうとポケットから髪を取りだし、適当な大きさに千切る。
「ペンお借りします」
其処らのペンを一本拝借して、書く。
「よし」
最後に花のイラストを添えて、帰ろうと立ち上がる。
「ん?ナオミ帰って・・・」
「!?」
「水も滴るいい男」が一瞬頭に浮かぶ。
潤一郎は風呂に入っていたようで、髪の毛がしっとりしている。
いや、風呂に入っていたのは、直ぐ分るだろう。
何せ、服を着ていない。
大事な部分にタオルを巻いているだけなのだから。
何だか微妙な空気が流れ出した。
「えっと、じゃ」
「あっ、待って」
呼び止められたので、振り返ると、タイミングよくタオルが解け、パサッと乾いた音を立てる。
「お邪魔しました」
何一つ顔色を変えず、何事も無かったように、歩き始めるA。
素早くタオルを巻き告げるが、もうAはドアノブを掴んでいる。
「Aちゃん!待って!Aちゃーん!!」
バタンと静かにドアが閉まった。



「鏡花ちゃん。今日は湯豆腐だよ」
上から敦の声が聞こえるが、耳にあまり入ってこない。
「わっ、ごめんよ。って如何したんだい!?」
いつの間にか、与謝野にぶつかってしまったようだ。
「アンタ、顔真っ赤だよ!?大丈夫かい?」
今のAはよく熟れた林檎より赤に染まっている。
頬だけではない、耳や首を含めた、顔全体が真っ赤なのだ。
「あっ、うぅ・・・。ちょ、っとアダムとイブの違いを認識、しまして・・・」
「は?」
其の侭与謝野に抱き着き、胸に顔を埋める。
真っ赤な顔を見られたくない為の行動だと思うと初々しく可愛らしい。



「遅くなってしまって御免なさい。あら?兄様如何しました?」
「もう、お婿に行けない・・・」
「大丈夫ですわ。きっとAさんがお嫁に貰ってくれるはずですから」
項垂れた潤一郎の肩を軽く叩いた。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 谷崎潤一郎   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 10ページ 読んでみる ではなく 呼んでみる ではないでしょうか? (2021年4月13日 0時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - みほさん» すいません。そういう仕様と思ってください。ちょこちょこ直したので違和感が少なくなっているといいのですが・・・。 (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - 凰朧月鬼華さん» 改行を増やしてみました。見やすくできるように頑張ります。 (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - 塩キャラメルさん» 遅くなりすいません。少し空白を入れ、改行を加えてみました。少しは見やすくなったでしょうか? (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
みほ - 句読点の入れ方が独特ですが、そう言う仕様なんでしょうか?読んでいるときに引っ掛かって違和感があったので…。わざとそうしているのであればすいません。 (2018年2月8日 17時) (レス) id: 605cea03c8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柚湯 | 作成日時:2016年12月11日 4時

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