二十六、好きと言うか愛している ページ31
「はぁ・・・」
頬杖を突き、憂いを帯びた目つきで溜息を吐く。
「Aちゃん、如何したの?」
「いや、何でも」
すっかり冷めた紅茶を啜り、手を動かし始めた。
「一体、如何したんでしょうか?」
「遂に、女難の相が出たんじゃないのかい?」
「狙っていた女性に振られたとか?」
「もう少し、マシな理由はないンですか・・・」
*
「ヒョロっとした姿。色白の肌。独特な匂い」
通りすがりに、聞こえた会話が、如何しても興味をそそられた。
「其処まで、好きなのかい?」
「優しくて、楽で色んな意味で一番なんですよ。其れなのに!昨日行ったら居なかったんです!!
私、仕事が終わって一直線に行ったのに・・・」
「あっ、でも最近は、緩くなってきたじゃないですか」
「諦めて、違うのにしたけど、彼じゃないとね・・・」
チクリと何かが、胸を刺す。
其処まで、思い入れている彼とは、どんな人物なのだろうか。
昨日、仕事が終わった途端、飛び出して行ったAの後ろ姿が浮かぶ。
「好きと言うか、愛している。ほぼ一緒だもん」
「愛している」の一言に鈍器で殴られたような衝撃が走る。
「まぁ、
「ですよねぇ。嫌いな人なんて、居ませんよね!」
与謝野先生まで、好んでいるとは、どれ程の人物なのだろうか。見てみたい。
「なら、一緒に行きません?」
「勿論、喜んで付き合おう」
大変な事になった、ナオミまで、異体の知れない魔性の虜になってしまう。
何としても、止めなければ、覚悟を決めて、ドアを開けた。
ビックリしているナオミの肩に置く。
「ナオミ、止めるンだ。そんな異体の知れない奴に手を出してはいけない。
Aちゃんも、考え直して!君には、ボクが居るじゃないか!!」
「潤、一郎くん・・」
よく見ると笑いを堪えている三人。
「
そしたら、此の子が『モヤシ』が大好きって言ってね」
つまり、「優しい」は財布に優しいで、「ほぼ一緒」は、ほぼ三食一緒という・・。ややこしい。
『モヤシ』に敵対心を持ち、自分の存在の危機感を『モヤシ』に抱いていた訳か・・・。
赤く成っていく顔を腕で覆う。
「『君には、ボクがいるじゃないか!!』」
「うぅ、止めて・・・」
「安心して、彼氏は貴方だけ。男遊びはしないわよ」
にっこり微笑み、抱き締められる。
彼女の言葉に、安心出来ないのは、何故だろう。
そもそも、『モヤシ』に彼とか、言うから・・・。
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麗(プロフ) - 10ページ 読んでみる ではなく 呼んでみる ではないでしょうか? (2021年4月13日 0時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - みほさん» すいません。そういう仕様と思ってください。ちょこちょこ直したので違和感が少なくなっているといいのですが・・・。 (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - 凰朧月鬼華さん» 改行を増やしてみました。見やすくできるように頑張ります。 (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - 塩キャラメルさん» 遅くなりすいません。少し空白を入れ、改行を加えてみました。少しは見やすくなったでしょうか? (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
みほ - 句読点の入れ方が独特ですが、そう言う仕様なんでしょうか?読んでいるときに引っ掛かって違和感があったので…。わざとそうしているのであればすいません。 (2018年2月8日 17時) (レス) id: 605cea03c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚湯 | 作成日時:2016年12月11日 4時