二十四、少女漫画にはイケメンを ページ29
随分離れたので、大丈夫だろうと足を止める。
自分の体では、絶対に息は上がっている筈だが、この潤一郎君の体は余裕がある。
羨ましい。
抱え込みながら走ったので、ケーキは無事だと思いたい。
入れ替わる展開とか、ベタ過ぎると思っていたけど、実際入れ替わっているから笑えない。
あの塀の角みたいな所で、イケメン？と衝突して、話が始まるやつもあった。
この歳にして夢見がちなことを考え、ゆっくり歩き出す。
よし、一寸やってみよう。
誰も居ないし、心の中で言えば恥ずかしくない。
わたし、椿A。花の十九歳♪
さっき可愛い女の子とお茶したの。
今はその帰り、お土産にロールケーキ買ったんだけど、恐いお兄さんに出会って、走ってきたの。
如何しよう、ケーキ大丈夫かなぁ？
今日非番なんだけど、差し入れ届ける位いいよね？
さぁ、この角を曲がって、
「グボッ・・・」
見覚えがありすぎる姿。
強く打ちつけられた痛み
じゅ、潤君、何で、ここに・・。
急いで、ても、曲がり角では、注意しなきゃダメだよ。
特にＴ字の道路は、し、衝突注意だよ。
周りをよくみて・・・。
始めの時と同じ、抜けていく浮遊感を感じた。
＊
「っ！イッタ・・・」
声に違和感を感じ、目線を下にずらせば、シンプルなスラックス。
男性物じゃない、女性物だ。
服装を見ていけば、潤一郎に着替えさせた服そのもの。
周りを見れば、これまた伸びている潤一郎。
近くにケーキが入ったボックスが横たわっている。
完全に中は残念なことになっているだろう。
溜息を吐き、ボックスを拾い、潤一郎を揺する。
「起きてぇー。潤君」
揺すっても、言っても、唸っているだけ。
「起きて。身包み剥いで、ほっておくよー。わいせつ罪で、お世話になるよー。
東のヘタレじゃなく、東の変態になるよー」
中々凄い事を言っても、一向に起きない。
「しょうがない。お姫様抱っこする他ないな」
目が輝き、ふんっと掛け声を掛け、持ち上げる。
勿論A一人では出来ないので、異能も使う。
「っ・・・ん！？」
「お目覚めかい？潤一郎君」
今からAの背後に薔薇が咲き乱れそうだ。
「Aちゃん！？」
「さぁ、探偵社へ行こう」
パチっとウインクをして、歩き始める。
「ちょ、一寸待って！下ろして！！お願い！！」
「潤君って(思っていたよりも)軽いね。もう少し食べた方がいいんじゃない？」
「もういっそ殺してぇ！！」
Aから、放たれるキラキラが眩し過ぎて、色んな意味で死にたいと潤一郎は思った。
二十五、お友達から始めましょう→←二十三、マスクで出会った黒髪美人さん
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 116人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
麗(プロフ) - 10ページ 読んでみる ではなく 呼んでみる ではないでしょうか？ (2021年4月13日 0時) (
レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - みほさん» すいません。そういう仕様と思ってください。ちょこちょこ直したので違和感が少なくなっているといいのですが・・・。 (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - 凰朧月鬼華さん» 改行を増やしてみました。見やすくできるように頑張ります。 (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - 塩キャラメルさん» 遅くなりすいません。少し空白を入れ、改行を加えてみました。少しは見やすくなったでしょうか？ (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
みほ - 句読点の入れ方が独特ですが、そう言う仕様なんでしょうか？読んでいるときに引っ掛かって違和感があったので…。わざとそうしているのであればすいません。 (2018年2月8日 17時) (レス) id: 605cea03c8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柚湯 | 作成日時：2016年12月11日 4時
