二十、もう一度落ちれば戻る? ページ25
「全く、何処へ行ってたの?」
自分が動いて、喋っている光景は、見ていて不思議。
「一寸、迷子になっていてね」
歩く度に辛そうな顔をしている。
「如何したの?」
「あぁ、慣れなくてね・・・」
「一寸、待って」
ひょいっと持ち上げ、姫抱きをすれば、
「なぁっ」
赤く成る顔。
「痛いんでしょ?大人しくしないと落ちるよ?」
「うぅ・・・」
両手で赤い顔を隠し、されるが儘になる。
その様子が可笑しくてケラケラ笑う。
「もう、お婿にいけない・・・」
か細い声を聞きながら、歩きだした。
*
帰ったら、説教と仕事が待っていた。
「最近、よく説教されている気がする・・・」
打つ手を休めずに呟いた。この答えは誰かに聞くまでもなく決まってる。
仕事をサボって外へ行くからだ。
普通の会社なら、即クビ。
説教で済むだけ、ありがたいと思わなくては、いけないのかもしれない。
打つ手を止め、窓を見ると空は暗くなっている。
引き出しから、飴を取り出し、口に含む。
少し酸っぱい檸檬の味が、広がった。
窓をもう一度見れば、潤一郎の服に体。
この席に潤一郎が座っていると、考えると少し違和感を覚える。
戻る為には、もう一度、階段から落ちてみなくはいけないのか。
コロンっと飴を転がし、再び手を動かし始めた。
*
「じゃあ、宜しくね」
Aの体の潤一郎が頷き、階段を上っていく。
風呂とか、着替えがある為、何としても、今日中に戻らなくてはいけないと潤一郎が言ったのだ。
先ず、Aの体を持っている、潤一郎が落ちて、潤一郎の体を持っているAに衝突する。
近くでは、心配そうなナオミが見守っている。
「行くよ」
前向きの落ちてくる潤一郎。
痛みを覚悟して、目を瞑る。
ゴンッと鈍い音に痛み。一瞬、星が見えた。
何とか、落ちてきた潤一郎は受け止められた。
痛みが和らいた頃に目を開けると、目の前にAの姿。
「大丈夫?」
元に戻っていない様だ。
「何とか・・・」
次は、Aが落ちて、潤一郎と衝突する。
最後の一段を上り終わり、クルッと前を向く。
「うわっ」
其れなりに高さがあり、戸惑う。
この行為が、近所迷惑でもあるように感じてきた。
ゆっくり、深呼吸して、跳び立つ。
目を閉じれば、浮遊感を感じる。
ゴンッ。
本日三回目の衝突、慣れない痛みが襲う。
クラクラする痛みを何とか堪えて、目を開ければ、完全に伸びているAの姿の潤一郎。
「戻ってないか・・・」
風邪を引くと良くないので、取り合えず家に運ぶ事にした。
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麗(プロフ) - 10ページ 読んでみる ではなく 呼んでみる ではないでしょうか? (2021年4月13日 0時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - みほさん» すいません。そういう仕様と思ってください。ちょこちょこ直したので違和感が少なくなっているといいのですが・・・。 (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - 凰朧月鬼華さん» 改行を増やしてみました。見やすくできるように頑張ります。 (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - 塩キャラメルさん» 遅くなりすいません。少し空白を入れ、改行を加えてみました。少しは見やすくなったでしょうか? (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
みほ - 句読点の入れ方が独特ですが、そう言う仕様なんでしょうか?読んでいるときに引っ掛かって違和感があったので…。わざとそうしているのであればすいません。 (2018年2月8日 17時) (レス) id: 605cea03c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚湯 | 作成日時:2016年12月11日 4時