十七、少女漫画チックにやってみたら ページ22
わたし、椿A。何処にでもいるような、平凡的な女の子。
異能と言うちょこっと珍しい力を持って、今日も元気に探偵社へ行くの。
急いでても、口にパンは咥えてないわ。だからって茶碗なんて、持ってないわよ。
グギッ。
「おぅ・・」
痛い、真面目に痛い。
そして、この浮遊感。
階段をいざ降りようとした時、捻った。
このままだと、地面に落ちる。
一寸、昔見た少女漫画チックにやってみたかっただけ。
漫画だったら、此処で腕を引っ張ってくれる、素敵な男性はいるかもしれないが、此れは現実。
そんな、人居ません。運よく居ません。
「えッ!?」
誰がの声が聞こえたような気がする。
此処で、受け止めてくれたりしないかなぁ。
ゴンッ。
さっきと比べ物にならない痛みと何かが抜けていく浮遊感を感じた。
成仏してしまう感じだろうか。
本当に痛いと、声に成らないって本当なんだね。
まだ、死にたくないし、異世界にも飛ばされたくない・・・。
でも、若し、いっちゃうなら、
せめて――、可愛い女の子と、キャッキャウフフできたらいい、な・・・。
意識を手放した。
*
目を開ければ、真っ白な部屋。
薬独特の匂いがする。
起き上がれば、白衣を着た与謝野が椅子に座っている。
「探偵社内か・・・」
まだ、痛みが残る頭を抑える。
「ようやく起きたかい?」
「はぁ〜白衣を着た与謝野先生も素敵ですね!」
「なに、Aみたいなこと言ってんだい。『谷崎』」
クスッと笑う与謝野の言葉に、目を見開いて驚く。
「えっ谷、崎・・・?」
自分の手が少し角張っている気がする。
服がダボついている気がする。
「か、鏡見せてもらっても?」
差し出された鏡を震える手で掴み、覗く。
写し出された姿を見て、思わす鏡を落としそうになった。
其処に移っているのは、紛れなく谷崎潤一郎。
急いで、ベットから降り、隣のカーテンを勢いよく引く。
目を閉じているのは、椿A自身の体。
驚きながらも、その体を思いっきり揺らす。
ガクガク揺らしていけば、やっと起きる。
「ぃッた。って、えっ!?」
自分に起こされたのだから、驚くのも無理はない。
「これを見て!」
鏡を目の前に差し出す。
写った姿に、驚き声も出ず、パクパクと口を動かす。
「私達は入れ替わってしまったみたいだよ」
驚きと興奮が混じった声は、何処か楽しんでいるようでもあった。
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麗(プロフ) - 10ページ 読んでみる ではなく 呼んでみる ではないでしょうか? (2021年4月13日 0時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - みほさん» すいません。そういう仕様と思ってください。ちょこちょこ直したので違和感が少なくなっているといいのですが・・・。 (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - 凰朧月鬼華さん» 改行を増やしてみました。見やすくできるように頑張ります。 (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - 塩キャラメルさん» 遅くなりすいません。少し空白を入れ、改行を加えてみました。少しは見やすくなったでしょうか? (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
みほ - 句読点の入れ方が独特ですが、そう言う仕様なんでしょうか?読んでいるときに引っ掛かって違和感があったので…。わざとそうしているのであればすいません。 (2018年2月8日 17時) (レス) id: 605cea03c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚湯 | 作成日時:2016年12月11日 4時