十二、可愛い女の子の為に、貯金がある ページ13
「おぉ、とても可愛らしい子ではないか」
Aの目の前には、赤い着物を着た、鏡花。
「鏡花ちゃん、今何歳?」
「十四」
「惜しい、でもまぁ、一歳位は誤差とすれば、いいか」
手を顎に当てて、唸るが、答えは始めから決まっている。
そう、愛でるのだ。
「鏡花ちゃん、これから、お姉さんと良いことしよう」
手を取り、探偵社から出て行こうとするA。
「一寸、椿さん!?鏡花ちゃんに何する気ですか!?」
「何って、あんな事やこんな事だけど?」
振り返り、にやけた顔で言う。
「あんな事って?」
「鏡花ちゃんも聞かない!」
必死な敦を楽しそうに見るA。
「冗談は此処までにしてっと」
「椿さんが言うと冗談に聞こえませんよ・・・」
「そう?一寸お茶して、来るだけだよ。危ないことはしないよ・・・多分」
そう言い、素早く出て行った。
「椿ぃ!!まだ、仕事終わっておらんだろがぁああ!!」
何て言う、国木田の叫び声なんて聞いてない。知らない。
*
「にしても、敦君は鏡花ちゃんのセ〇ムだねぇ」
鏡花の手には、もう既にクレープがある。
「美味しい」
「よかった。何処か行きたい所ある?」
「橘堂の湯豆腐!!」
其処は、結構高い料理亭であるが、Aは顔色一つ変えない。
目をキラキラさせている。
さっきまで食べていたクレープは、もう食べてしまったようだ。
「じゃあ、行こうか。私は敦君と違って余裕があるんですよ」
手で金を示し、にっこり笑う。
差し出された手を、ギュッと握る。
*
しこたま湯豆腐を食べた。
近くの喫茶店でお茶をし、雑貨店などを見て周っていたら、暗くなってきた。
「ありがとう。楽しかった」
「そう言って貰えるなら、安い出費だよ」
「よかったの?あそこの湯豆腐高かったはず」
「可愛い子の為に私の貯金はあるの。それに、お代のことを気にするなんて野暮ってもんだよ」
手を繋いだまま歩く。少し肌寒いが、それも一興だ。
こんないい状態なのに、ガミガミ言ってる国木田の顔が出て来た。
「帰ったら、国木田さんに怒鳴られそう。帰りたくない・・・」
項垂れるAに、そっと微笑む鏡花。
帰ると、しっかり、みっちり、説教された。
遅くまで残業をする羽目になるのだが、少し懐いてくれた気がしたので、Aにとっては、差し引きゼロ、
「終わんないぃいいい。潤くぅううん」
なはず・・・。
涙声で、ひたすら手を動かし続ける。
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麗(プロフ) - 10ページ 読んでみる ではなく 呼んでみる ではないでしょうか? (2021年4月13日 0時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - みほさん» すいません。そういう仕様と思ってください。ちょこちょこ直したので違和感が少なくなっているといいのですが・・・。 (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - 凰朧月鬼華さん» 改行を増やしてみました。見やすくできるように頑張ります。 (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - 塩キャラメルさん» 遅くなりすいません。少し空白を入れ、改行を加えてみました。少しは見やすくなったでしょうか? (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
みほ - 句読点の入れ方が独特ですが、そう言う仕様なんでしょうか?読んでいるときに引っ掛かって違和感があったので…。わざとそうしているのであればすいません。 (2018年2月8日 17時) (レス) id: 605cea03c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚湯 | 作成日時:2016年12月11日 4時