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『…アイツらはいいんだよ。だって、私に話があれば自分から聞いてよーって来れるだろ?
ーーでもさ、あの二人はあんまり話聞いてくださいって自分から言いに来るタイプじゃないじゃん?
だからバレーの事でもそれ以外の事でも、何か悩んでる事とかないか、ちゃんと確認しときたくてさ』
まぁ他の奴等も何か気になったら個人で話聞くつもりではいるんだけど。
Aはそこまで言って言葉を切った。そうして俺の方を向いて、笑う。
『はじめちゃん、何で、って言ったよね。何でって、そりゃあ、』
…私、これでもマネージャーだから。
その勝ち気な笑みに思わず目を見張った。マネージャーという仕事に対する絶対的な自信と誇り。そして根底にある部員に対する限りない慈しみの心。
ああ、綺麗だ、と。純粋にそう思った。
『はじめちゃんも、何か困った事あったら言うんだよ。できる限り力になるから』
じゃあね、と手をヒラヒラと振ってAは俺に背を向けた。その後ろ姿が見えなくなってから、俺もアイツらが待つテーブル席に足を向かわせる。
席に戻ると花巻は机に突っ伏したままピクリともしないし、及川は机の上に“の”の字を書き続けているしで正直言ってかなり面倒くさい。国見なんか壁の方を向いて完璧に拗ねている。
「岩ちゃんトイレ長い男は嫌われるよ!!」
「違ぇわ!」
とりあえず及川を一発殴ってから席に着く。グラスにストローを差し込んでコーラをジューッと啜っていると、いつの間にか顔を上げた花巻が俺の顔を訝しげに眺め、口を開いた。
「…岩泉なんか顔緩んでね?」
何で?
ストローの先を口に咥え行儀悪く上下に振る花巻を見返して、指摘されるほどか、と内心溜め息をついた。
…まぁ、でも仕方ない。
俺らの幼馴染みが、あまりにも格好よかったから。
俺らを一番近くで支えてくれる奴がお前でよかったと、こんなありふれた日に実感させられるなんて思ってもみなかったから。
「…何でって、そりゃあーー
ーー俺らのマネージャーはやっぱり世界一だと思ってよ」
首を傾げる花巻に、先程のAを思い出して俺はニッと笑ってみせた。
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雨音(プロフ) - コメントありがとうございますT^Tそんな嬉しいことを言って下さるなんて涙が…更新頑張れそうです(*´◒`*)猫様も体調気をつけて下さいね!本当にありがとうございました(*'▽'*) (2022年4月29日 19時) (レス) id: 9d08cd299b (このIDを非表示/違反報告)
猫 - まじでこの作品大好きです‼︎体調に気をつけてくださいね。 (2022年4月29日 11時) (レス) @page2 id: fd92b45f0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨音 | 作成日時:2020年7月25日 1時