【HQ】烏野高校に通う、とある少女の話

月島くんと山口くん ページ21

「…ちょっと。呼び出しておいて何イチャついてるの」


おお、その無気力な声は…。



『つっきー…じゃなかった、蛍ちゃん！！あと山口くんも！！』

「…僕どっちの呼び方も許可してないんだけど」

『だって嫌がらせだもーん！！』



こらそこ！舌打ちしない！！



それに比べて…。

足大丈夫？なんて早速心配してくれる山口くんは、やっぱり王子様だ。



『うん、まだちょっと痛いけど大丈夫！！心配してくれてありがとね！！』


そう言って笑うと、山口くんもニコッと笑い返してくれた。


あああ天使…。翔ちゃんみを感じる…。




「…それで、何の用？」

『蛍ちゃんは相変わらず無愛想だなあ。そんなんじゃ女の子にモテないぞ！！』

「ツッキーは女の子にモテモテだよ！！」

「…何でお前が答えるの」

「ごめん、ツッキー！！」



…デジャヴ。

え、この二人のやり取りはいつもこんなコントみたいなの？




『あ、えーっと、これ二人にお礼』

そう言って蛍ちゃんにイチゴミルクを、山口くんにはお茶と抹茶オレを差し出した。




『山口くんは好きなもの分かんなかったから、とりあえずどっちか選んでもらおうと思ったんだけど…。どっちがいい？』

「えっ！！そんな大したことしてないのに…！！」

『いやいや！ほんとに助かったし、それに…買っちゃったし、嫌いじゃなかったらもらってほしいな？』


そう言って少し首を傾けて上目遣いで見つめる。

必殺！！あざといポーズ！！



「うーんそっかあ…。じゃあ抹茶オレもらうよ！ありがとう、秋山さん！」




……。


…あっるぇ〜〜〜。せっかくの決めポーズが華麗にスルーされたんだけど。

え、しかも可愛さ満点の笑顔付きだよ。これ女子として負けたよね？？



…しかも後ろの蛍ちゃんからはどん引きした氷のような目で見られてるし。



君にやってないんだから、もう少し手加減してください！！

ってかそれ絶対女子を見る目じゃないよね！むしろ虫とかを見るような目だよね！




『あ、あはは…。じゃ、じゃあね！ほんとありがとね…』
　

色んなものに耐えきれなくなり、二人に背を向けてそそくさと立ち去る。




…蛍ちゃんって呼び慣れないから月島くんに戻してやろうかと思ったけど、やめやめ！！

嫌がらせのために蛍ちゃん呼び頑張っちゃうもんね！！！ざまあみろ！！

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