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「…うん、ありがと。なんかすっきりした」
「おー」
私のお礼にロヴィーノが照れ隠しのようにぶっきらぼうに返事をする。
「ヴェー、でもでも、例え話とはいえAからそんな相談されるなんて、新鮮で面白かった〜」
「せやなぁ。A様、色恋沙汰とは無縁ですーて顔してたもんなぁ」
「ふうん…。そうなんだ」
ごめんね体の主、貴方のイメージ片っ端から崩しにかかってる。
私が苦笑いしていると、「そうや」とアントーニョが手を叩いた。どうしたのかと首をかしげると、アントーニョが眉を下げて「A様、フランに伝言頼めへん？」と叩いた手をそのまま合わせて訊いてきた。
「別にいいけど、自分で言えないの？」
「自分で言うた時のアイツのにやけ顔が目に浮かぶから嫌や」
待てよなにを伝える気だ。安請け合いをしたことを若干後悔しながらアントーニョの次の言葉を待つ。だが、その身構えは杞憂だったようで、アントーニョの口から出た「伝言」は、案外拍子抜けするものだった。
「アイツにごめんなって言ってほしいんや」
「…ごめん？」
その言葉に喧嘩でもしたのかと一瞬思いをめぐらせ、すぐにそういえばしてたなと思い出す。フランシス、平然としてたけどおなかに一発くらったんだった。
「あー、分かった。というかそれアントーニョ、自分で言ったほうが良いと思うけど」
「いや…そもそも俺悪くないんやで？」
「悪くない？」
アントーニョの言葉をオウム返しにして訊くと、アントーニョが微妙な顔をして頷いた。
「俺、そもそも撃つ気なんてなかってん。アルフレッド様には弾入ってないって聞かされとって、ただ音だけやって言われててんな。そしたら弾入ってたやんか。気づいた時にはもう遅くてなぁ。
いやあ、フランが吸血鬼でほんまよかったわぁ。そうやなかったら俺、ギルにもフランにも合わせる顔無かったもん」
「…つまりアルフレッドに騙された？」
「騙されたっちゅーか…まあ吸血鬼同士の軽いお遊びやんなぁ」
軽いお遊び…。まあ、うん…死なないってんなら命を軽々しく扱うのも…いや頷けはしないけど、ありえなくはないか…。悪趣味なのには変わりないけど。
「わかった。伝えるついでにアルフレッドにも注意しとく」
「ん、助かるわぁ。ありがとなぁA様」
「うん。じゃあそろそろ行くね。シエスタ中起こしてごめん。ありがと」
そう言ってあの円形の部屋に戻ろうと立ち上がった瞬間、ドアの向こうから怒号が響いて来た。
続く (更新停止中)
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作者名：天星雨音β | 作成日時：2016年10月6日 20時
