第百七話 ページ22
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激しく吹き付ける風と手の血の気が抜けるほど手に汗握る浮遊感。
初めてには刺激が強すぎる。
終わった後もしばらくその変な浮遊感とぐらぐら揺れる感覚が直らずベンチに座って休むことに。
「ちょっときつかった?」
「…ううん、楽しかったんだけど……結構、体に来るね。」
「お婆ちゃんじゃないんだから。……あ、僕飲み物買ってくるよ。」
「ごめん、ありがとう…。」
遠くへ去っていく安室さんの背中を見届けて後ろにあるジェットコースターを再度見上げる。
悲鳴が上がるのはそういうわけか…確かにきつかった。
雑踏を片耳にきつかったけれども意外と苦ではなかったあの感覚を再度思い出しながらも小さく笑みを零す。
「あれ、お姉さんひとり〜?」
そんな、良き思い出を振り返っていた途中邪魔が入り上を見上げた。
そこには明らかにチャラチャラした風貌の男の人二人組。安室さんとは違って人工的に塗り替えられた金髪は不自然な程鈍い光を放っていた。
「い、いえ。連れがいるんです…。」
「え〜、嘘。彼氏に置いてかれちゃったんじゃない?現に今ちょっと寂しそうな顔してたし!」
「ジェットコースターで酔っちゃったんです。それで飲み物を買いに行ってくれてて。」
「それ、どっかの恋愛漫画みたいじゃね?まぁまぁいいからさ、ちょっと付き合ってよ。」
ぐいぐい手を引かれ彼のブレスレットがガチャガチャ嫌な音を立てる。
振り切ろうにも振り切れない、男の人の力の差に歴然としながら怖さから体が小刻みに震える。
「嫌ですっ、やめてください!助けて、あ……安室さんッッ!」
「誰だよ、安室って……「僕の事ですが……何か?」へ?」
涙目になった視界がちょっとだけ晴れて、向こう側が見える。ペットボトル片手に仁王立ちしている安室さんの瞳はどこか蔑みを含んだ目で。
二人とも目の前で情けない声を上げる。
その隙に私の手を引かれるとぽすんと安室さんの胸の元へ収まる。
「汚い手で触るな。……早くどっか行け。」
「「…ひ、ひぃ!」」
ドタバタうるさい足音から察するに安室さんが彼らを撃退してくれたのだろうか。
まだ怖さが抜け切らず、胸の中に抱かれた感覚が暖かくて、優しくて。
手を回して控えめに抱きつく。
「……ごめん、一緒にいれば良かったね。」
「こ、わかっ…た!」
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ベタな展開ほど好む傾向にある作者です笑
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花帆 - こんばんは、安室さんとの両想い…!!甘くてトキメキます(*´ω`*)これからの展開も楽しみに応援しております♪ (2018年7月17日 4時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
瑛奈(プロフ) - 初めまして!いつも楽しく読ませていただいます!ついに夢主ちゃん、安室さんが好きだって自覚しちゃいましたね(笑)今後の展開で降谷さんとしてはどう動くのか楽しみです(笑)更新大変かもしれませんが頑張ってください! (2018年7月1日 15時) (レス) id: 7374128719 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 更新ありがとうございます!夢主さんどんどん大変になってきますね…実質は相手2人なのに(笑) 目が離せません! (2018年6月18日 9時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
mao(プロフ) - 更新ご苦労様です!主人公うらやましい!(笑)安室さんファイトって応援したくなりますね! (2018年6月17日 20時) (レス) id: 5697599ead (このIDを非表示/違反報告)
来夢*゚(プロフ) - salomeさん» もう、いろんな人たちがてんやわんやしてますね…!工程通り進めましたが中々書く方はハードです…笑 これからどうなるかどうぞお楽しみに! (2018年6月17日 19時) (レス) id: 522dbc585e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:来夢*゚ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/playlistra/
作成日時:2018年6月13日 20時