隣の家の降谷さん3rd 【 降谷零 】

第百話 ページ15

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自分の中ではまだ沖矢さんの事が払拭し切れないまま迎えた土曜の朝。

この間決定した際に交換したとあるアプリから『朝9時くらいに迎えに行きますね。』とご丁寧に連絡が入っていた。


ままならない思考のままトーストを齧り、小さく咀嚼する。

月曜日から散々悩まされたけれど行く事でしか答えは出ないみたい。けれども、安室さんとのデートがどの時間まで続くかは分からない。



｢……私にどうしろと…！｣


ここにはいない二人の存在がぐるぐる頭を駆け巡り、忌々しい思いを抱きながらもガリッとトーストを噛みちぎった。


そうだ、忌々しいと言えばお隣さんのふるたに…じゃなかった降谷さんも同罪だ。



｢これが俗に言う三角関係…じゃない、四角関係…！？園子ちゃん人にはモテ期が三回来るだかなんだか言ってたけど……今こられても困るよ…。｣




齧ったトーストのパンくずが無残に散り散りになり、テーブルの下へと落ちていく。

雑に食べるのはやめよう。
そう思い、ゆっくり噛んで朝食を楽しんだ。



時刻は変わって8時50分。
10分前だし外に出ようかとバッグを肩に下げ歩き出す。

遊園地に行くことを考慮して長めのデニムパンツにボーダーのトップス、そしてアクセントとして頭にカンカン帽を被って外へと出た。



エレベーターに乗りながらバクバク脈打つ心臓を抑えつけて階下に急ぐと軽やかな通知音と共にディスプレイに安室さんの文字。


『もう着きました。お待ちしてます。』


と丁寧に書かれた文字を見ながら気合いをいれるために息を吐き出して再度綺麗な空気を吸い込んだ。




｢おはようございます、安室さん。｣

｢あ、おはようございます！Aさん。｣


視界の先には嬉しそうにぱあと顔を輝かせる安室さん。まだ見たことの無かった私服は予想はしていたけれどやっぱり似合っていて。

ボーダーカットソーに七分袖のシャツを重ね着し、少し藍色に近いクロップドパンツに首元から覗くネックレス。


後ろにある安室さんの白い車が更に効果を相乗させていて思わず口から変な声が漏れそうになった。


イケメンは本当に何しても似合うんだな。




｢……あ、ボーダー僕とお揃いですね。｣

｢確かに。｣

｢ふふ、なんだかお揃いコーデみたいで嬉しいです。行きましょうか。｣


律儀に開かれた助手席に乗り込みながら早速ポイントを突いてきた安室さんに額を抑え込みたい気持ちに駆られながらも波乱万丈なデートがスタートした。




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