やらかした ページ46
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ふと、目が覚めた。
ベッドの青っぽいシーツの向こう、寝室のカーテンは片方だけ閉まっていて、まだ開いてるほうの窓から見える空はオレンジ色に染まっている。
「あれ……」
私いつの間に寝たんだろう。
痛むほうの肩を下にしてベッドに横たわっていたせいで肩が少し痛む。
ジンジンするそこを撫でながら体を起こすと、部屋の時計が目に入った。
「え、六時？」
ベッドから飛び降りてリビングに向かうけどそこ二宮さんの姿はない。
当然だ、平日のこの時間はまだ会社にいるか会社を出たころかどっちかだろう。
キッチンの食器かごのなかには今朝飲んだココアのマグカップが二つ並んで伏せられていた。
ダイニングの机の上にコンビニのお弁当が乗っていてそれを重しに一枚のメモが置いてあった。
そこには二宮さんの筆跡で「疲れてたんだろ。ココア飲んだ後寝ちゃったから今日も休みな。悪いけど昼はコンビニ弁当で。なるべく早く帰る」と書いてあって。
文字を目で追って、ため息をつく。
「やらかした…」
今日こそ出勤しようと思ってたのに。
肩を落として、でもどうしようもないから仕方なくマグカップを布巾で軽く拭いて食器棚に片付ける。
この部屋に溶け込んだマグカップは私の居場所を示すみたいに二宮さんのマグカップの隣に収まる。
「ただいまー」
玄関の方から声がして二宮さんが姿を現す。
二宮さんは私の姿を見止めるとそっと表情をやわらげた。
「作業して大丈夫か」
「大丈夫。ごめんなさい、私寝ちゃったみたいで…」
「気にすんな。やっぱ疲れてんだろ、いろいろあったから」
今朝と同じように私の頭を撫でて、会社の方は連絡入れてあるからなんて言いながら二宮さんは手に持っていた紙袋を掲げた。
「悪いけど、夕飯も買ってきた弁当な」
二宮さんは本来、あんまり料理をしない。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2019年7月19日 17時
