気になるのは ページ18
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櫻井さんが予約してくれたというカフェに入ってアイスコーヒーで乾杯。
最初は砂糖だけで飲んでたけど、途中でなんだか物足りなくなってミルクを注いだら櫻井さんが「一緒ですね」とカフェオレになったグラスを揺らす。
いつも会社で飲むのとは違うスッキリしたカフェオレを喉に流し込んで、何かが違うなって満足はできなかった。
「本当に彼は恋人じゃないの？」
「だから違いますってば」
むしろ私はあなたに恋人になってほしいんですけど。
二宮さんの年齢を知った時もたいそうびっくりしたけどそれに匹敵するレベルで驚くことに櫻井さんの年齢が三十一だと判明して敬語じゃなくていいですから！と慌てること数分、丁寧な口調だった櫻井さんはようやく砕けてきた。
元来気さくな人なのかそれとも私に話を合わせてくれているだけなのか、打てば響く櫻井さんの反応に思いのほか会話が弾む。
その流れで半月以上前のお礼をしてあらかじめ買っておいたちょっとお高めの和菓子を渡す。
それを見て「だから気にしないでって言ったでしょ」なんて笑う櫻井さんにもう一度だけと頭を下げた。
そして話題がひと段落したころ、二杯目のココアのグラスにささったストローをくるくると回しながら櫻井さんがそんなことを言うから私はあの日と同じように否定する。
そんなに私と二宮さんは恋人っぽく見えるんだろうか。
「……そっか、恋人じゃないんだね」
「違いますよ……え、櫻井さんそんなに二宮さんが気になります？」
「アッハ、ちがうちがう、気になるのは君」
吹き出して笑った櫻井さんが口元を手で覆う。
この人、こういう所作が上品できっといいところの出なんだなぁと思う。
「………わたし？」
「そ。君みたいな若くてかわいい子があんなおじさんに捕まってたらかわいそうだなぁって」
「おじさんって…」
ふふって笑いあう。
この数時間一緒にいてわかったことだけど、櫻井さんは笑い上戸みたい。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2019年7月19日 17時
