ココア派 ページ19
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この間救護室で見た櫻井さんはお手本みたいな左右対称の笑顔を浮かべてばかりだったけど、今日はくしゃっと笑ってる。
おんなじ人とは思えない。
「でも私、おじさんでも全然大丈夫ですよ。王子様になってくれるなら」
「ふふふ、そうなの？じゃあ俺もいけるね。あ、王子様ってキャラじゃないか」
「そんなことないですよ！櫻井さんめっちゃ美形ですから！」
「フフ、ありがとう」
ふっくらした唇が言葉を紡ぐ。
照れる様子もなく笑ってるところを見るに、二宮さんと一緒で格好いいって言われなれてる人種みたい。
「君は恋人には王子様になってほしいの？」
「え？あぁ……そうですね、おとぎ話みたいに愛をくれる王子様なら、見た目は関係ないんですけど」
「おとぎばなし、ね…」
「そうです。シンデレラとか、いばら姫とか、白雪姫とか。私だけの王子様って感じじゃないですか」
「ヘー…」
櫻井さんがココアに口を付ける。
赤い唇がストローを挟み込んでちょっとすぼめられる。
甘ったるいココアが吸い上げられていくのを目で追っていたら、櫻井さんと目が合ってきょとんとした顔をされた。
「あ、ぜんぜん、なんでもないですよ」
「そう？すっげぇ見られてるから何かしたかと思って」
「違いますよ？ほんとに。ココア、美味しそうに飲むからお好きなのかなぁと思って」
「あぁ、子供っぽいかな？どうも僕はコーヒーよりカフェモカ、カフェモカよりココア派なんだよね」
「わかります」
「あ、君も？」
「はい。コーヒーよりカフェオレ、カフェオレよりココアです」
「はは、そっか」
思わぬ共通点を発見して内心ガッツポーズ。
甘いもの好きでよかった！
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2019年7月19日 17時
