制限時間は命ひとつ分 (ページ9)

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８話ページ9

「…っく…ああそうだ、折角だから、二人にも協力してもらおうか。サクラ、温かいタオルを数枚用意してくれるかな、リオンは、お母さんをすぐに呼んできて、あとは卵のそばにいてあげて」
「うん、わかった！！私、ちゃんとお手伝いする！」

サクがげん気よくへんじをする。ボクはおおきくうなずいてみせた。
それから、ボクたちはみんなできょう力して、たまごのほごをした。ボクはおかあさんをよんで、サクといっしょにタオルでたまごをあたためた。
ほかのおとなたちも、バタバタとそれぞれさぎょうをし始めている。

「あなた、どう？卵の中の子は、無事なの？」

おかあさんがしんぱいそうにおとうさんにきく。
ちょうしんき？というものをたまごにあてていたおとうさんが、ため息をついた。

「……鼓動が弱い。衰弱している可能性がある」
「ねえ、すいじゃく…？って、何？お父さん」
「赤ちゃんが弱ってるかもしれないってことだよ…中を詳しくは見られないから、どうなっているのかは…」
「そんな！！！」
「…ノグチくん、この卵の親の種は？」

ノグチくん、とよばれたお仕事にかんけいするヒトは、しずかにこたえた。

「…マフォクシーです…」
「やはり炎タイプか…！…炎タイプの卵は、寒さに弱い。少しの時間でも親の体温から離れると、危険なんだ…」

「ポケモンの医術書なんてものはないから、俺の研究持論だけどね」とつけたして、おとうさんは深こくそうなかおでたまごをみつめた。
おとうさんの言葉に、おへやの中が、しずかになったけど、そのとき、サクがこえを上げた。

「こうしちゃいられない、私、もっともっと薪を持ってくる！！部屋の中をあっためなくちゃ！」

そういって、サクはとびだしてしまった。
まわりのみんながなにかいってたけど、あわててボクも、サクのことをおいかける。

「リオちゃん、お手伝い来てくれたの？」
「…」

ボクがうなずくと、サクはうれしそうにてをたたいた。

「ありがとう！一緒にあの卵の中のポケモン、助けようね！」
「わぅん！」

ボクとおなじ、というたまご。
みちばたで、はっけんされたというたまご。
だったら、なおさらがんばってたすけてあげたい。
サクたちが、ボクのことをあんぜんに、生まれてこられるようにしてくれたように。

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それから、また、なんにちかたった。
たまごは、まだうまれない。