制限時間は命ひとつ分 (ページ49)

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４８話ページ49

ああもう！もはやなんで？って聞きたいのはこっちだよ！！

『お、オラッ！！じゃあオメーの大好きなニンゲンに、毒突き刺してやるよ！』
「な、なんかいきなりこっちきたあああ！」
『サク…！』

オレは全力で走ると、サクの前に立ち塞がった。
グサッと腹部あたりに爪が突き立てられる。
しまった、油断していた…やられた。

「リオちゃん！！」
『オメーなら絶対そうすると思った！まんまと引っかかりやがって！ざまあみろー！どうだ？俺の自慢の毒の味は！ほれほれどんどん流し込んでやるぞー？』
『んっ……！…ん？いや、これ、爪が突き刺さって痛いだけ…なんだけど…』
『え？あれ？…ほんとに？』
『うん』

その時、ファリナが『あ』と何かに気づいたらしく、少しニコニコしながら言った。

『そういえばルカリオって、かくとうタイプだけど、はがねタイプでもあるから、毒は効かないって、前にイグニスさん話してたー！ほら、みんなでポケモンリーグの試合見て勉強してた時だよ！』

それを聞いたペンドラーの顔が、みるみるうちに青ざめていく。

『だ、そうだけど…これからどうする？オレはもう少し戦ってもいいんだけどさ…キミが望むなら』

オレはグッと突き刺さっている爪を掴んで、身体から抜いた。刺さってる分には普通に痛いからね。
ペンドラーは冷や汗をかきながら、ふるふると首を振った。

『い、いや…いやいやいや！今日は天気も悪いし、みんな仲良くおうちに帰ろう！うん！そうしよう！食べようとして悪かった！き、きのみで我慢する！うん！』

こうして、ペンドラーは森の奥へと物凄いスピードで逃げ帰っていくのだった…。
オレがそれを見届けていると、「あのー…」とサクが声をかけてきた。

「…え、何このめっちゃイケメン…え？リオちゃん…だよね…？リオちゃん…なんだよね…？」

サクがそんなふうに話しかけてきた。
ああ…信じたくなかったけど、やっぱり進化しちゃったんだ！
オレは改めて水溜りに映る自分を見て驚愕した。
ルカリオだ…水の中には、完全にルカリオがいる…。
何だろう、この…嬉しいような、悲しいような…。
サクはおそるおそると言った感じで、オレに近づいてくる。そして、優しく手を取ってきた。

「凄く、あったかい手…やっぱり進化して大きくなっても、イケメンになっても、リオちゃんはリオちゃんのまんまだね！……ありがとう。私のことも、みんなのことも、守ってくれて！」
『サク……』