制限時間は命ひとつ分 (ページ46)

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４５話ページ46

いいや…折角サクやファリナのおかげで、助けられたのに…こんなところで、負けられない！

『ああ？なんだ？小せえ小僧…美味そうだなあ…オメーから食ってやろうか？』
「リオちゃん！ダメ！！！」

サクの制止の声も聞かず、ボクはペンドラーに向かって走り出した。
大丈夫。訓練通りにやればいける。
ボクはしんくうはでペンドラーを吹き飛ばした。

『何っ！？』

まさか、ボクに攻撃されるとは思っていなかったのか、ペンドラーは大きく体勢を崩した。

『ワタシも…ワタシも戦うもん！』
「あ。ちょっと！ファリナまで！」

ファリナはボクの隣に立つと、サイケこうせんをくりだした。上手くは当たらなかったけど…。

『ファリナはダメだよ、下がってな！』
『何言ってるの！またリオン一匹で戦おうとしないでよ！ワタシだって、イグニスさんに色々習ってるんだからね！』

ボクとファリナが言い争っていると、ペンドラーが体勢を直しながら低い声で言ってきた。

『小せえくせに、なかなかやるようじゃねえか…これは食い甲斐があるってもんだ…獲物は暴れないと、意味がねえ…』
「待った！待った！！みんなに手を出さないで！お願い、こ、こんな雨だし、少しは見逃して！道に迷っちゃってさー…あははは…」

サクはボクたちの前で両手を広げて、何とか穏やかに説得を試みている。ヒトの言葉を知らないポケモンにそんなことは通じないし、そもそも空腹なポケモンに、そんな言葉は届かなかった。

『何言ってるのかわかんねえよう、ニンゲンは邪魔なんだよう、いいからどけ』
「きゃっ！！」
『サク！！！』

ペンドラーの長い胴体で突然吹っ飛ばされたサクは、宙に浮かぶ。ボクはサクを受け止めようとしたけど、身体の大きさが違いすぎるから、うまく受け止められなかった。

『サク、大丈夫！？』
「あいたたた…私は大丈夫だよ。私がサーナイトを背負う。そして、みんなで全力で逃げよう。いいよね？リオちゃん、みんなと話せるんだよね？そう伝えて…」

ボクは頷いたけど、それを伝える余裕もなく、ペンドラーはボクたちに突進してきた。

『うわぁ！？』
『ファリナ！！！』

少し前に出ていたファリナがペンドラーに捕まった。

『リ、オ…ぐる、し…』

長い胴体がくるりと丸くなり、身体を締め上げられて、苦しそうにもがいている。

『やめろ！！離せ！』
「ダメだよ、リオちゃん！！！」

ボクはファリナを助けなければという一心で、何も考えずにペンドラーに突撃してしまった。