制限時間は命ひとつ分 (ページ39)

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３８話ページ39

「君はバカかっ！早く！ダイキにみんなが気を取られてる隙に、乗りなさい！」
「はーい♪」

ユングさんに誘導されて、ボクとサクは無事バスに乗り込んだ。
席は一番後部座席の窓際？にいるみたいで、隣にはユングさんとダイキさんが座ってくれている。
再び点呼を取ったりした後、バスはいよいよ動き出した。サクたちの担任の先生？らしきヒトの声が、マイクで旅行中の注意事項を話している。
ボクはチョコを食べながらも、チャックの隙間からバスの窓から見える景色を見ていた。
というか、バスって、何だかんだで初めて乗ったな！こんな感じなのか…！
空中を低く飛んでいるみたいだ…。

「リオちゃん、もう少しチャック開けようか」
「るぉ？」
「何言ってんだ！俺の努力を無駄にする気かよ！？このバカサクラ！ってかリオンも声出すなって！」
「えー…だってえ…リオちゃんが外を見たがってるんだもん…見せてあげたいじゃん？」
「おい、おい…！二人とも静かに！…担任がこっち見てる！」

そんな感じで、ドキドキしたりしなかったりしながら、バスはようやく目的地に着いた。
…までは…良かったんだけど…。
それは、班に分かれて登山して、目的地に辿り着いてから飯盒炊爨をする、というスケジュールで動いていた時のこと…事件は起きた…。
サクがまず「水飲んでから行くから、先に行ってて！」と同じ班のダイキさんやユングさんを送り出して、後を追おうとした。
でも、複雑な山道…地図はあるけど、どこをどう行けば、ダイキさんたちがいる道に繋がるのか…サクは迷いに迷ったらしく…。

「うん、どうしよう、リオちゃん…完全に道に迷った…」

サクの絶望的な声を聞いて、ボクはリュックから飛び出す。…いつのまにか、明らかにヒトがいなさそうな山の中にいた。
“来た道を戻ろう”
ボクが紙に書いてそう伝えると、サクは首を振った。

「ずっと同じところをぐるぐるしてるの！リュックの中から状況は聞いてたとは思うけど…他の班の人も行って、遅かったの私だけだったし…ちょっと、まずいかなー…？」

耳を澄ますと、ポケモンの声も沢山聞こえる…。
これは早くみんなに合流しないと、大変だ…。
ボクがそう思っていると、ボクの房が、不穏な波導を感じとった。未成熟ながら、何か…敵意を持った何かが、近づいてくると、教えている。

“サク、近くに危ないポケモンがいる”
「えっ？ええっ！？」
“逃げよう、ついてきて”