制限時間は命ひとつ分 (ページ36)

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３５話ページ36

「……こりゃ、担任にバレたら大変だぞ……お、俺ら、マジで知らないからな！」
「何言ってるの、事情知ってるんだから、少しくらい協力してよね！」
「…あのさ…ところで、そこにリオル…いや、リオンを入れるのは百歩譲っていいとしてさ…サクラ…君、自分の荷物どうすんの…？」
「あっ……！」
「お前…それ、気づかなかったんかい…」
「ダイキサマ、ユングサマ…わたくしの声が聞こえますね…？わたくしから、一生のお願いがあります…当日、わたくしの荷物を持って下さい。」
「「やだ！！！」」

だ、大丈夫かな…我儘通しちゃったけど、少し不安になってきた…。迷惑かけないようにしなくちゃ…。ああでも、サクの背中の温もりがあって、リュックの中居心地いいな…。ボクはうとうとしながら、三人が言い争うのを聞いていた。

────

そして…いよいよ、その修学旅行の日がやってきた。
朝…楽しみで、少し早く起きちゃったボクは、サクの部屋から抜け出して、リビングのテレビをつける。
すると、ちょうどポケモンリーグのハイライト番組が放送されていた。

「──選手！最高の相棒のルカリオと！見事優勝を勝ち取りました〜っ！新たなる絶対王者、涙が止まりません！ルカリオ始め、手持ちのポケモンたちが！涙の──選手に寄り添っています！共に乗り越えてきた沢山の壁…培われたポケモンとの固い絆を、今！私たちに見せてくれています！」

実況のヒトの声も、興奮している。
それにしても…ルカリオって、こんなに大きくなるんだ…。
イグニスさんにも、『ポケモンリーグの試合を見て学ぶといい、今回のチャンピオン、ルカリオらしいし』と言われたから、普段はバトルの様子しか、見ていなかったけど…自分の進化のことについて考えていると、自然と身体の大きさとかを見てしまう。
テレビに映るルカリオは、大きくて、逞しくて、やっぱりかっこいい。
ボクも進化したら、強くなれるかな？

あれ…？でももし、こんなに大きくなったら…サクに抱っこされなくなっちゃうんじゃ…。
ボクは、大変なことに気づいてしまって、テレビのリモコンをぽとりと落とした……。
…前に、お父さんがボクに進化の兆候があるっていってた…。
このまま進化したら…サクに、甘えられなくなる！？

「うーん…よく寝た…あれ？リオちゃんいないなって思ったら、やっぱり先に起きてたんだ…」

サクが目を擦りながらリビングに来た。サクも早く起きちゃったみたい。ボクはたまらずサクに抱きついた。