制限時間は命ひとつ分 (ページ35)

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３４話ページ35

「おバカ！！！そんなことしたら、ますます連れて行けなくなるぞ！僕らの担任、大のポケモン嫌いじゃん……大昔、コリンクに噛まれたとかいって…」
「うわー！そうだったーーーっ！私としたことがーっ！」

うう…なんか、ボクがボールに入らないから、色々と迷惑かけちゃってる…？
でも、ごめんね…サク…これだけは譲れないよ…。
それに、ボールの中にいる間に、サクにもしも何かあったらと思うと、やっぱり心配で入ってなんていられない…。
でも、このままじゃ修学旅行に行けないし、やっぱり入るしかないのかな…。いっそこっそりついて行っちゃおうかな…。

「そうだ！いい事思いついた！待っててね、みんな！」

サクはボクのことを地面に下ろすと、物凄い勢いでおうちの方へ走って行った。

「…あいつの思いついた事って、大体ろくなことじゃねえんだけどな…」

ダイキさんとユングさんが、何だかジト目でサクの後ろ姿を見つめている。
何を思いついたんだろう、とボクも一緒に、サクが走り去った方を見ていると、サクはすぐに帰ってきた。

「ジャンジャガジャーン！」
「……なんだコレ」
「お父さんが大切にしてる、特製登山リュック！めちゃくちゃ大きいでしょ！」
「何勝手に人のもの持ち出してるんだ…」

「まあお父さんなら許してくれるでしょ！」と言いながら、サクはリュックのチャックを大きく開ける。
中を見ると、ちょうど…ボクがすっぽり入りそうなスペースが…。
ん？…あれ…？まさか、ね…？違うよね…？
サクはボクに向けて、ニヤリと笑った。

「ふっふっふ…さあ！リオちゃん！この中に入ってみて！！レッツゴー！！♪」
「待て！まさか、まさかまさか、リオルをこのリュックに入れて行く気なのか！？修学旅行に！？」
「うん！！ボールよりは全然マシだと思うんだ、これならずっと一緒にいられるし！ねっ、リオちゃん！」

た、たしかにボールよりはいいんだけど…凄く大胆だ…。でも、ボクの為に色々考えてくれるサクが、やっぱり大好き！
ボクは喜んでバックの中にすっぽりと入ってみた。

「ほらみんな見なさい！ちゃんと入ったよ！おーい、どう？リオちゃん！入り心地は！」

うん…少し、狭いけど…これくらいなら…多分大丈夫。ボクは「くぁん！」と返事をした。
サクが「よし！完璧！」とチャックを閉める。少しだけ空気が通るようにか、隙間は開けてくれている。