制限時間は命ひとつ分 (ページ28)

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２７話ページ28

『うわあああ！リオンー！おいら、おいら…！ごめんね…！ほんとに、ごめんね…！』
『ありがとう…リオン！きみのおかげで、ぼくたち、たすかったよ…』
『ぐすっ…リオンがぶじで、ワタシ…ほんとに、よかった…』

特に、ファリナは相当心配してくれていたのか、その場にへたり込んでしまっていた。

「ファリナたちも、心配していたんだね…」
「ポケモン同士でも、多分色んなことあったんだろうなあ」
「明らかに会話みたいなのしてるし、ほっこりする…」

ご主人たちが、そう言いながらボクたちの会話を見守っている。

『いやいや！ボクのおかげじゃないよ…むしろ、ボクは一番年上なのに、みんなのこと守れなくて…イグニスさんが助けに来てくれなかったら…今頃…』

そう言いかけると、イグニスさんは「グオオオオン」と鳴き声をあげながら、ボクの方を見て言う。

『たしかに俺が駆けつけていなかったら、全滅していた。でもな…命がけで身体を張って、みんなを守って、時間を稼いでくれたのは、他でもない…リオンお前だ。それを、みんなにも話したのさ。くく、そこは自分を誇りに思えよ』
『イグニスさん…本当に、本当にありがとう…！』

そう言われて、またボクは涙が出そうになるのを堪えながら、お礼を言った。

『でもな、ポケモン専門の病院なんてないんだから、自分の身体も大切にしろよ？みんなもだ、冒険することは別に悪いことじゃないが、たまには大人も仲間に入れてくれよな！大人だって、子どもに戻りたくなることがあるんだから！がははは！！』

イグニスさんはそう言って、また豪快に笑っていたのだった…。
その後、結局お父さんにはあんまり叱られなかったけど、お母さんにはいっぱい叱られちゃった。
ボクの怪我の具合は、相当酷かったみたいで、あと少し遅れていたら、危なかったかもしれないって言われた。
お母さんが強く叱ったのは、ボクを思ってのことだって、わかっていたから、ボクは別に悲しくなんてなかった。

「あちゃー…いっぱい叱られてたね…リオちゃん。大丈夫？」

夜になって、サクとボクのお部屋で、サクに包帯を取り替えてもらいながら、ボクは頷いた。
“サクは怒ってない？”
ボクは文字を書いてそう聞くと、サクは「うん！！！」と大きく頷いた。

「でも……。凄く、心配した。こんなに傷だらけで、目も覚さなくて、リオちゃんがこのまま死んじゃったら、どうしようって…凄くたくさん考えた…』

サク……。
サクの目は、涙で潤んでいた。