制限時間は命ひとつ分 (ページ26)

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２５話ページ26

『こういう怒ってる奴は……冷静じゃないから…こうやって、どんな方法でもいいから、適当に逃げられないようにして…一気に畳みかける！』

そう言うと、イグニスさんは、竜巻とともにぐるぐると回っているオニドリルめがけて、その大きな翼を思いっきり叩きつける。
オニドリルは悲鳴を上げながら下に落ちていき、どぼーんと音を立てて湖に墜落していった。

『や、やった…！イグニスさんが、かったぞ！』
『わーい、わーい！』
『よかった…ほんとに、よかった…！』

背中に乗った三匹が、『ありがとうございます！』とイグニスさんに声をかけている。
ボクも、早くお礼を言わなくちゃいけないのに………急に、眠気みたいなものが、襲ってきて………。
ボクは、いつのまにか、目の前が真っ暗になっていって………。
暗闇に、意識が落ちていった。

────

気がついたら、ボクは、いつもサクと眠るベッドに寝かされていて………サクが、側にいた。
ボクの手を握ってる…。
ずっと握っていてくれたのかな…あったかい…。
サクは、ボクが目覚めたことにすぐに気づいてくれた。

「リオちゃん！目が覚めた…！ああ良かった…ぐすっ…良かった…！！」
「きゃうん！！『サク！！』」

サクが優しくボクのことを抱きしめてくれた。少し身体が痛いけど、それ以上にサクのところに帰れたのが、嬉しくて、夢じゃないことが、嬉しくて。
…よく見るとボクの身体には、ちゃんと包帯が巻かれてる。お父さんたちが、手当てしてくれたのかな…。

「えへへ…巻き方変かな…私が、巻いてみたんだけど…大丈夫？きつくない？」

え、サクが巻いたの！？
凄く上手に丁寧に巻かれているから、てっきりお父さんかお母さんかと思ったんだけどな…凄いや！
そんなことを思っていると、サクは照れくさそうに笑った。

「お父さんに教わりながら巻いたんだ…リオちゃんが傷だらけで帰ってきて…意識もなかったから…でも、リオちゃんのために、何か…したくて…」
「…」

サク……。
凄く嬉しい…でも、いっぱい心配かけちゃってごめんなさい。
それだけでも、伝えたいな…。
そう思って、ボクはベッドの近くの机に置いてある、画用紙とペンに、手を伸ばした。
でも、ギリギリ届かなくて、身体がベッドから落ちそうになる。

「ん？ん？…どれ？これ？これほしいの？」

そう言いながら、サクは画用紙とペンを取ってくれた。ボクは頷いて、さっそくペンで画用紙に文字を書く。