制限時間は命ひとつ分 (ページ25)

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２４話ページ25

さっきまでオニドリルたちに殺されそうだったのに、今はイグニスさんのそばにいるからか、もう全然怖くない。

『…あとは、襲ってきそうなヤツを先に排除すべきか否か判断するかも、重要なポイントだぞ。それから、自分の身体全てが武器だと思え、戦いで使わなそうな尻尾とか翼も、立派な武器になるんだ！』

『例えば、こんな感じで…』と、束になって襲ってきたオニスズメたちを、イグニスさんは長い尻尾で一気に薙ぎ倒した。

『お、おおー…すごい…オニスズメたちが、一気に下に…！すごいわ！』
『かっこいい…かっこいい…！おいら、イグニスさんのファンになる…』
『ぼくも…』
『おうおう、俺の“特製イグニスペシャルサイン”だけ、後でサービスでみんなに書いてやるよ』

…そのサインはよくわからないけど、本当にイグニスさんはかっこいい。

『イグニスさん！イグニスさんって、ほのおタイプですよね？しっぽとかつかわなくても、かえんほうしゃでかたづけたらいいのでは…？』

ゼニガメがそう聞くと、イグニスさんは『ノンノン！』と首を振った。

『こんな森の中で炎なんて吐いたら、一気に燃え広がって、ここに住んでる他のポケモンにも被害が及んじまう。だからむやみに使うのはダメなんだ』
『！な、なるほど…！』
『そっか…だからあえて、ほのおけいのわざはつかわないのね…！』
『そうそう、お嬢ちゃんも炎タイプだから気をつけな。常にスマートに！カッコつけて戦うんだぞ！』

その時、オニドリルが一気に突撃してきて、イグニスさんはサッとかわした。
いつのまにかもう周りにオニスズメがいない…その代わり、下には沢山のオニスズメたちがぐるぐると目を回して気絶しているのが見える。

『よくも…俺様の子分たちを可愛がってくれたな…？いともたやすく、やっつけやがって…俺様が相手だ！』
『おうおう！こっちこそ！よくもこんな可愛い可愛いちびっ子たちをいじめてくれたな？』
『キェエエエエエエ！俺様の食料返せー！』

オニドリルは怒りのまままた突撃してくる。イグニスさんは『ちびっ子ども！本気で掴まっとけ！』と叫ぶと、オニドリルとすれ違うように滑空した。
た、高い…！今気づいたけど、高いの少し苦手かも…。それからオニドリルの周りをぐるぐるともの凄い勢いで回り始める。

『なっ…なんだ！？うわー！ぐるぐるぐる…回るー…！！』

すると、一気に風が巻き起こり、オニドリルは竜巻のような突風の中に閉じ込められてしまった。