制限時間は命ひとつ分 (ページ22)

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２１話ページ22

『トドメだ小僧。その腹から喰らい尽くしてやるから…死ぬまで声の限り泣き喚けよ…そしたら残りの三匹も恐怖で身が引き締まって、美味しくいただけるんだからな！』

ああ…せめて三匹だけでも…逃げて欲しいけど…。
そんなことを考えられるボクは、これから自分が死ぬってことを、まだわかっていないのかもしれない…と思った。
お腹を食べられ始めたら、嫌でもわかるのかな…。
怖いよ…そんなの…怖い…怖い…。
ねえ、サク…。
やっぱり、ボク、死にたくない…。
サクに会えなくなるなんて、嫌だ…。
サクと、みんなと一緒に生きていたい…。

『う、う…ぁあああう゛！！！』
『何っ！？』

ボクはうなると、最後の力を振り絞って、オニドリルの足に噛みついた。

『ギ、ギャアアア！！足がぁああああ！痛い！痛い！こら！離せ小僧！』

嫌だ、絶対に、絶対に離さない。死んでも離すもんか！！
どうせ食べられるのなら、恐怖に支配されたまま死ぬんじゃなくて、最後まで戦って死ぬ！
ボクは噛みついたままそう自分に言い聞かせて、奮い立たせた。

『リオン…！』

すると…三匹が…急に、反撃を始めた。何の技をくりだしているのかは、角度的に見えないんだけど、オニスズメたちの驚いた悲鳴が上がっている。

『おいらたちも！リオンみたいに、さいごまで、あがくぜ！』
『やれることは、やる！』
『リオン！！いまたすけるからね！』

…それでも、ボクらは子どもで、弱い。
あっという間に、数と実力で、丸め込まれてしまいそうだ。
三匹だけでも逃げて、と言おうとしたその時、噛みついていた足が、離れてしまって、ボクは反動でまた大きく吹っ飛ばされた。

『小僧…よくも俺様の足を…！！！…一思いに食い殺してやろうと思っていたが…予定変更だ。手足一本一本、もぎ取って苦しめながら喰らい尽くしてやる…』
『……』

今度こそ、力は出し切ってしまった。
…でも、ボクが反撃したから、三匹の足の震えも止まった…今なら、みんなだけで、逃げられるかもしれない…。
無駄じゃ、なかったって…信じたい…。

………サク。
あのね、ボク…ボクなりに、頑張ったんだけど…もうサクのところへは、帰れないのかも…。
弱くて、ごめんね。
みんなのことも守れなくて、ごめんね…。
でも…これだけは…。
いつかちゃんと、ヒトの文字で…ヒトの言葉で…キミに、伝えたかったな…。
サク…ずっと、ずっと…だいすきだよ…。

ボクは薄く開いていた目をギュッと閉じて、歯を食いしばった。