制限時間は命ひとつ分 (ページ20)

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１９話ページ20

『おいらたち…やっぱりたべられちゃうんだ…うわーーーん！！』

ゼニガメが泣き叫んだのを機に、みんなもわーっと泣き始めてしまった。それを見て、オニドリルたちも笑い出す。
これが、絶望。
最近覚えたばかりだけど…“万事休す”…とも、言うのかもしれない。
でも……ボクは、身体を震わせておびえているゼニガメたちを見た。怖いという感情が伝わってきて、一気に自分の中に流れ込んでくる。
そんな中でも、少しだけ冷静になれている自分がいた。
ここはボクが、しっかりしなくちゃいけない。
簡単に、食べられてたまるもんか…！
ご主人のところに…サクのところに、みんなで帰るんだ…！
ボクは自分自身にそう言った。

『リーダー！早くやっちまいましょうぜ！俺らもう腹が減って死んじまいそうですよ！』
『そうだな、喰らっちまうか。最初は、どーれーにーしーよーうーかーなー♪…と思ったけど、スペシャルサービス！俺様は余った奴でいいから、みんな先に選んでいいぞ！』
『リーダー！太っ腹〜！』

オニスズメたちは、ゼニガメに向かって一気に襲いかかる。ゼニガメを最初の標的に決めたんだ！
ボクはすかさず気を集中して、真空の波を飛ばし、オニスズメたちを追い払った。
こんな技、覚えた記憶はないんだけど、多分、リオルというポケモンとしての、本能みたいなもので覚えているんだと思う。

『なっ！？』

ボクが技を出して邪魔するとは思わなかったんだろう、オニスズメたちは、少し動揺している。

『ゼニガメ！しっかり！』

ショックでぼーっとしていたゼニガメの身体を揺さぶると、やっと目がはっきりしてきた。

『…うん…』
『うん、大丈夫そうだね、早く、ボクの後ろへ』
『リ、リオン…！』

うるうると目を潤ませているゼニガメを押しのけるようにして後ろに隠して、ボクはオニドリルたちを睨みつけた。

『ほう…？俺様たちを見て、ひるまねえとは……肝が据わった小僧じゃねえか！』

オニドリルが感心したように、馬鹿にしたようにそう見下ろしてくる。

『俺様ぁ嫌いじゃあねえぜ…お前みたいな向こうっ気の強い小僧はよお…なんたって、お前のような小僧を平伏させ、絶望に突き落としてから美味しくいただく…それが快感だからなぁ！』
『っく…！』

凄く怖い。そんな感情が、体の底から湧き出してきた。
足はまだ、大丈夫だけど…技をくりだした手が、今にも震えそうになる。