制限時間は命ひとつ分 (ページ17)

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１６話ページ17

『リオンとファリナって、こんなもりばっかのところに住んでるのかよ？』
『もう慣れたよ、生まれた時からずーっとここにいるし』
『むしのポケモンさんにも、たくさんしりあいがいるんだよ！』
『へえ、あってみたいな！』

ファリナも少し二匹に慣れてきたのか、積極的に説明するようになってきた。ファリナは一回慣れてくるとすごく明るくなるから、ボクは少し安心する。
…あれ？でも…おかしいな、いつもいるその、虫のポケモンたちがいない…。今日はみんなお留守かな…？

『なあ！もっとおくへいこうぜ！』

奥へ行こうとするゼニガメとモクロー、そしてスキップしながらちゃっかりついていこうとするファリナを、慌ててボクは止めた。

『みんな待った！！それ以上はダメだよ。ボクらも行ったことがないんだ』
『え？リオンたちもいったことないのか！？ちょうどいいじゃん！みんなでいこうぜ♪』
『そうだよ、なにかあるかもしれない…♪』
『えへへ、リオン、いこういこう〜♪』
『ファリナまで……いや、でも…ダメだよ！』
『えー？リオンはもりのおくがどうなってるか気にならないのか？』

お父さんと、約束したことがよみがえる。
“森の奥へは、絶対に近づいちゃいけないよ”。
お父さんは、そんなことを言っていた。

『…うーん、ボクだって…森の奥になにがあるのか、気になるけど…』

なぜ森の奥は行ってはいけないんだろうと、少し好奇心は湧いたことがある。でも、お父さんとの約束を破るなんてことはできないし、何とか自分自身を引き留めてはいたんだ。

『ならいいじゃん！いこうぜ！ぼうけんだ！』
『『おー！！！』』
『って、あ！ちょっと！まだ話の途中！勝手に進んじゃダメだってば！』

ボクが少し引き留める言葉を考え込んでいるうちに、三匹は楽しそうにずんずん先へ進んでしまった。仕方ないから、慌ててボクも追いかける。早く引き留めなくちゃいけないのに、好奇心に支配されたみんなを止められない。
それに、森の様子が、何かおかしい。
いつもマキをとりにきたときに話しかけてくれる虫ポケモンが、一匹もいない。気配もない。まるで、この森に生き物なんて一匹もいないような…そんな不気味さがある。
嫌な予感がする。

『ねえ、早く帰ろうよ…ご主人たち、心配するよ』
『まてまて、もうちょっと！ほら、なんかみえてきた！』

かなり奥まで進んじゃったな…と思ってると、少し開けたところにボクたちは出る。

そこには……大きな湖が広がっていた。