制限時間は命ひとつ分 (ページ16)

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１５話ページ16

『おいらはゼニガメ！！ご主人はダイキって言うんだ！！よろしく！』
『ぼく、モクロー。ご主人は、ユング。…よろしく…』

なるほど、この子たちは種族名がそのまま名前になってるみたいだ。それならわかりやすい。

『ボクはリオン。ご主人はサク…じゃなくてサクラ。…そしてこっちに隠れているのは、妹のファリナ。ごめん、ファリナは少し人見知り…というか、ポケ見知りなんだよね』
『よ、よろしく…』

ファリナがボクの影からひょっこり顔を出して、ひかえめに挨拶をする。

『へえ！お前らポケモンのしゅぞくちがうのに、きょうだいなのか！』
『うん！まあ、一緒に育ってきたからな』
『なるほどなあ！いいな！』
『そういうの、いいよね。ぼく、あこがれちゃう…』

案外話してみると、二匹とも悪そうなポケモンではなさそうだ。この身に感じる波動も別に問題ない。話している限り、やっぱりボクより少しだけ年下かもしれない。

「なんか、こいつらもリオルとフォッコと話してて、すげえ楽しそうだな！ゼニゼニとかわうわうとか、色々言ってるけど、何話してんだろ」
「さあね…でも仲良いことはいいことだ」

ゼニガメとモクローのご主人たちがそう言ってる。やっぱりヒトにはそう聞こえるのか…。

『そうだ、そこのゼニガメとさっき、はなしていたんだけど、ごしゅじんたちがいろいろやってるあいだ、すこしここらへんたんけんしたいなって…』

二匹は目を輝かせながらそう言った。確かにここはあまり来たことないだろうし、新しいところへ来たら、探検したくなる気持ちも、すごくわかる。

『いいよ、案内するよ！』
『わ、ワタシも…！あんない、がんばる！』
『ほんとか！？やったぜ！！しょうじきモクローと2ひきだけじゃ、まよってたとおもうし！へへ、たんけんたんけーん♪』
『ありがとう。こういうのひさしぶりで、うれしいな』

ボクたちが森の方へ歩き出したのを、ゼニガメとモクローのご主人たちは引き止めることはなく「あんま遠くいくなよー！」という注意の声だけ、投げかけてきた。

『わぁ！スッゲー！でっかいもりだ！』
『うん、もりだね…すごくいごこちがいいな…これぞ“しんりんよく”だよね』

ゼニガメはぴょんぴょんはしゃいでいて、モクローも風を受けて気持ちよさそうな顔をしている。
ボクらにとっては、おうちの近くの行き慣れたただの森なんだけど、初めて来た二匹にとっては、やっぱり新鮮なんだろうなあ。