制限時間は命ひとつ分 (ページ15)

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１４話ページ15

サクは左手でファリナを、右手でボクを器用にナデナデし始める。
ああ！やっぱりサクにこうやって、もみくしゃになるまでナデナデしてもらうのが、一番幸せ！
ボクとファリナは、おかえりとは言ってるけど、もちろんヒトにはボクらが何を言っているのか理解できないだろう。でも、サクは不思議となんとなくわかるみたいで、「ありがとう！」と返してくれた。

「そうだ、今日はよくわからないけど、変な友だち来てるから、ナデナデはあとでいっぱいするね！」

まだまだ甘えていたい気持ちをおさえて、ボクがサクの後ろを見ると、ヒトとポケモンが二組いた。

ヒトの方はサクと同じくらいの年だと思う。
ポケモンも、多分ファリナと同じくらいかな…だめだ、名前がでてこない。
…お父さんの書斎にあった、ポケモンの本に出てくる…なんだっけ…。
今日は、色んなポケモンに会うなあ…。

「ちょっとサクラ、早く僕の宿題ノート返してよ。んもう、アーチェリーの試合控えてるし、早く帰って練習しなきゃなんだから」
「ああ、ごめんごめん！えへへ…忘れてた！とってくるね！」

サクがすぐにおうちの方へ走っていく。

「へえ…！！マジで山の麓なんだな！サクラの家！」
「むしろお前はなんでついてきた」
「だって暇なんだもん！な、ゼニガメ！」
「ゼニゼニ！！『うん！ひまー！』」

あ、そうか。ゼニガメだ。
ボクは片方名前を思い出してスッキリする。
あともう一匹…アーチェリーがどうって言ってたヒトの近くにいるポケモン…誰だろう。

「あああもう、今度の大会は外せないのに…！モクローもそう思うだろ？」
「クルル…『ユングはいつも強いから大丈夫かと…』」

あ、モクローか。
あー！思い出してスッキリしたー！と、ボクが余韻に浸っていると、その二組が興味深そうにボクらに近寄ってきた。

「おおお！すげー！フォッコにリオルじゃん！」

ゼニガメのご主人が、そう言って目をキラキラさせてる。

「あれ、珍しい。フォッコもそうだけど、リオルなんて僕初めて見たよ」

モクローのご主人が、身を屈めてよく観察してくる。うーん、そんなにたくさん見られると、少し怖いんだけど…。

『よお！こんにちは！』
『はじめまして』

ゼニガメとモクローがそう挨拶してきたから、ボクも思わず『よお…？』と返した。
ファリナはすっかり警戒してしまって、ボクの後ろに隠れている。

『ううう…だれなの…あなたたち…』

ファリナがそう聞くと、ゼニガメとモクローが顔を見合わせた。