制限時間は命ひとつ分 (ページ12)

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１１話ページ12

「この子もうちで育てちゃおう！ちょうど炎タイプのポケモンも欲しかったし、この子もサクラとリオンがいれば、寂しくないだろう」
「あぁ…！先輩のところにいるなら、安心ですね…！良かった…。じゃあ、僕は引き続き調査しておきます！」
「ああ、あとでメール転送するよ」

そう言って、ノグチさんはいそがしそうにおうちをあとにした。おとうさんのお仕事、たまごやさんってきいていたけど、ほかにもお仕事あったりするのかな？そんな気がするなあ…。

「そうだわ！せっかくだし、このフォッコにも名前つけちゃおうか？」
「お父さん！お母さん！私、ポチか、ふーたろーか、ふぉんふぉんがいいー！」

サクのなまえのこうほに、いっしゅんで、なごやかなくうきが、こわれるのをかんじた。
…うん。ごしゅじんは、ほんとうにすてきなヒトだけど、これだけはいえる…。
なまえをつけるセンスは、たぶんない。
フォッコもそのなまえはさすがにいやみたいで、くびをふっている。

「そ、そうだねえ…今回も、お母さんに名前をつけてもらおうか！うん！そうしよう！ね！ね！」

そういって、おとうさんはなんとかサクをせっとくさせていた。フォッコは、あとで“ファリナ”となまえがつけられた。
「今日からお兄ちゃんだよ」とおとうさんとおかあさんにいわれて、うれしかったな。

ボクはサクとファリナといっしょに、いつものにちじょうをすごしたり、いろんなところへいって、たくさんあそんだ。
ファリナはすっかりなれて、サクのあたまの上にいることがおおくなって…ボクにたいしても、ほんとうのあにのように、なついてくれた。
……もちろん、そのあいだも、言葉のべんきょうもかかさなかった。
えほんだけじゃ、むずかしい言葉はおぼえられない。だから、えほんのふろくについていた、言葉のおとの表を持っては、まよなかにおとうさんのしょさいにこっそりしのびこんで、よくわからないぶあつい本をひらいて、ヒトがつかうもじをめでおった。
最初はまったくわからなくて、よむことはもちろんできなくて、すいそくをくりかえすさぎょうしか、できなかった。
でも、わからないことが、すこしわかったときが楽しかった。
いつか…サクとも、みんなとも、ちゃんとお話しできる日が来たらいい。そんなことを思いながら。

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それから、さらに月日が流れた。
サクはとっくに小学生になって、学校の友だちとあそぶことが多くなって…ボクとしては、少し寂しい感じもする。