制限時間は命ひとつ分 (ページ11)

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１０話ページ11

『だいじょうぶだよ、このヒトは、こわくないんだよ』
『…だいじょ…ぶ？…だれ…？』
『こんにちは、ボクはリオン、よろしくね』
『…こん…にち…？…うん。よろし、く…』

ボクがそうはなしかけていると、たまごからうまれたばかりのフォッコのはどうが、すこしずつ、おちついてきた。

『リオン…リオン…！』
『そうだよ！そして、こっちのちいさなヒトが、ボクのごしゅじん、サクだよ！』
『サク…？サク…！』

フォッコはまだうまれたばかりだから、みぎもひだりもわかっていない。じぶんのこえにすら、きょうみがわいているみたいで、ボクの言葉をまねっこしている。
ボクとフォッコがはなしているのを見て、おかあさんが「えらいねリオン…さっそくお兄ちゃんみたいね」と、あたまをなでてくれる。
おとうさんはフォッコのことをいろいろとしらべるたあと、ながいため息をついた。でも、わるいいみのため息じゃないのは、はどうのなみですぐにわかった。

「どうです？」
「うん！まったく異常なし！元気な女の子のフォッコだ！」

イジョウがない…いじょうがない…たしか、なにももんだいはない、といういみだ！
そうわかって、そのばにいたぜんいんが、あんしんしたんだと思う。おとうさんもノグチさんも、からだの力がぬけて、ちかくのいすにすわりこんだ。

「それにしてもこの子、可愛いねー！！ねえおとうさん！この子ともいっしょに暮らしたい！」
「お母さんも賛成よ…！リオンも、気に入ってくれてるみたいだしね…！」
「わぅ！」

ボクもべつにはんたいしない。
この子が、ボクとおなじだというなら、なおさら。
…なにがおなじなんだろう…ほんとうの“おや”がいないこと…？たまごが、みちばたにすてられていたこと…？
でも、なにかすこしちがう気がする…。
おとうさんもおかあさんも、そのことをボクにもサクにも、はなすのをさけているようなかんじがするんだ。
ムサベツにシュウゲキ…ポケモンが、シュウゲキされるじけん…。
まえにおとうさんのお仕事かんけいのヒト…ノグチさんは、そういっていた。

シュウゲキって、どんないみなんだろう…。

もっと、言葉のべんきょうしなくちゃ。

そんなかんがえごとをしていたけど、おとうさんの「だよね！！」という言葉にハッとかおをあげた。