眼帯少女は色んな意味で狙われています。６【安室透/赤井秀一】

Chap.243 ページ15

男の子はキョトンとしながらも
私の手を触っている。

「すごい、これ、すごい。
どうやってやるの？」

興味を持ってくれた…！

『あっ、これはね…。』

男の子の指を使って、カエルの
やり方を教える。

興味津々の男の子の目からは涙は消えていて
痛みも忘れてるようだった。

「ほんとだ！できた！すごい！」

『でしょ？お友達とかお母さんにも
教えてあげてね。』

「うん、うん！おかあさんにおしえる！」

そう言って、男の子は手をカエルの形に
したまま走って行ってしまった。

子どもって自由だなあ…。
でも、とりあえず元気になって良かった。

カゴを持って立ち上がる。

早く沖矢さんのところに戻らないと。

「遅かったですね。」って言われたあと
根掘り葉掘り聞かれて
「カエルをやりました」なんて言ったら
なんて言われるか…。

スカートの裾についた、ホコリを手で落とす。

「Aさん。」

後ろから聞こえた声に
ピタリと手が止まる。

この声、は。

振り返っては、いけない。
振り返れば、きっと後戻りはできない。

「カエル、僕にも教えていただけませんか？」

どうして。
あなたから私を拒絶したのに。

安室さん。

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