甘い時間。2

平野くん。 ページ17

平野「お前さ、裕太となんかあった？」



「…え？なんで？」






終業時間、3分前。


デスクまわりを綺麗に片付けて


帰る準備をしていたら


平野くんからポイとスマホを渡された。







平野「何でじゃねぇよ。

これ。裕太から来てた」



「……」



スマホを見ると裕太くんと平野くんの


LINEのトーク画面。





平野「…Aと連絡取れないって」



「……」



平野「…黙ってないでなんか言えよ」



「……」



平野「おい」



「…あ、17時半。お疲れ様でした」




バッグを肩にかけ


椅子から勢い良く立ち上がり


平野くんの前を横切る。





平野「…おい。待て」



「…あ、えっと、」



案の定、平野くんに捕まり


そのまま喫煙所へと連れてかれた。





「…私、煙草吸わないんだけど」



平野「…ん？まぁ、付き合え」



「…煙たいから外、出てる。

…あっち、行くね」



平野「…帰るなよ？」



「…うん」




喫煙所出て、商談スペースのとこ


座って平野くんが来るのを待つ。




今なら、平野くんの目盗んで


帰れるんじゃないかな。


って、頭の中過ぎったけど


平野くんに宛てたあの裕太くんのLINE。


少し気になる。


…気になるって


連絡途絶えたのは私の方なんだけど。




「…あぁ。何してるんだろ」





声になるかならないか


わからないボリュームで


小さく吐き出したつもりでいたのに






平野「ほんと、何してんだよ」




喫煙所から戻ってきた平野くんに聞かれてた。





平野「…裕太となんかあった？」



「…何もない」




目線はテーブル。


気持ちも右下がり。



本当に何もない。


裕太くんと私の間には何もない。





言葉にしたら


余計、悲しくなった。




平野「何もないのに、こんなの送ってくる？」



「…わかんない」



平野「…ケンカでもしたの？」



「…してない」



平野「…何で泣きそうな顔してんだよ」



「…してない」



平野「…してる」



「してない」






平野くんってたまに


ズカズカと人の心の中


土足で入って来るんだよね。


本当、止めてよ。





平野「…フラれたか？」



「！！…フラれたも何も私まだ気持ち伝えてな…い…」





…ヤラレタ。


まんまと平野くんの罠に引っかかった。

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