ep.86驚愕の事態 ページ42
_____今から遡ること10分前。
「たでーま」
バイト先から帰宅した銀時がそう声をかけると室内ではAがレポートを書いていた。
「あ、お帰りなさい」
銀時の帰宅に気付き顔を上げるとAは時間を確認した。時刻は午前3時過ぎ、相変わらずバーでのバイトは深夜帯であり銀時の心労が心配になる。
「疲れてない?コーヒー淹れようか?」
「んー…それより」
考えあぐねるような仕草を見せると銀時はコーヒーを淹れようと立ち上がったAの背後からぎゅうっと抱き付いた。後髪に顔を埋めて安堵の息をもらす。
「嗅ぐの止めてよ、お風呂入ったけど臭いとか気になるじゃん」
「嗅いでねーよ。……シャンプーの良い香りがする」
「嗅いでんじゃん!!」
口では嫌がるような言葉を言うが、それとは裏腹にAの顔は赤かった。全身の熱が一気に顔へと上がっていくような気がする。
それに気が付いた銀時はAの体の向きをぐるり、と自分の方へと向かせた。
暫し見つめ合って、先に根負けしたのは勿論のことAだ。30センチ程の距離で真っ直ぐに見つめられれば、それは恥ずかしいに決まっている。
「な、なに…?」
Aの問いに銀時は意地悪く笑った。
「目ェ閉じてくんねェのかなって」
「何でよ……」
「キスし辛ェから」
その言葉に迷うように目を泳がせた。もう一度だけ銀時の方を見れば彼は目を細めて笑っている。
「……。」
ぎゅっと無駄に固く瞑った目に銀時は少し笑って顔を傾けた。両手で彼女の二の腕を掴んで顔を近付ける。
その際にAの着ていた部屋着のパーカーが肩からずり落ちた。普段なら別段気にしなかっただろうが何故だか今日だけはそこに目がいったのだ。
「な、………お前…コレ」
頭が理解するよりも先に言葉が口を突いて出ていた。銀時の目線の先には身に覚えのない赤い痕があったのだ。
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lying doll(プロフ) - 彩彌さん» ギスギスしてます笑。今までに無かったぐらちギスギスしていて楽しいです笑笑。いつもありがとうございます(^-^)/ (2016年7月1日 23時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
彩彌(プロフ) - どうした夢主!?どうなる2人!?続きが楽しみデス(*´ω`*) (2016年7月1日 22時) (レス) id: 5fe99d50ec (このIDを非表示/違反報告)
lying doll(プロフ) - キャンディさん» ありがとうございます!久々に殺伐とした雰囲気の2人をお楽しみ下さい〜(^-^)/ (2016年6月30日 22時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
キャンディ - 続きがめっちゃ気になって仕方ありませんw (2016年6月30日 21時) (レス) id: 4af2ad187b (このIDを非表示/違反報告)
lying doll(プロフ) - えんどー豆さん» わりとズバズバ聞くタイプな様です( ˘ω˘ ) (2016年6月26日 19時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:lying doll | 作成日時:2016年6月11日 19時