【黒○】君に俺はどう映っていますか？【男主】 (ページ9)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:21,296 hit

7話ページ9

相手の腕前はどうあれ三人とヤり合うのだ、多少の掠り傷程度は予想していた。

しかし次の光景で助けなど初めから必要ないものだと知った。

「え」

一瞬の出来事に目を見張る。

形成は完全に殴りかかった男にみえた。

しかし、身体が傾き地に倒れ伏したのはその殴りかかった男の方。

数回痙攣した後完全に動かなくなった。

その男の様子を最も間近で見ていたはずの仲間の二人も、お互いに何が起こったのかわからないという顔で立ち尽くしている。

金色の髪の彼はというと今しがた殴って倒した相手を見下ろしていた。

口元には先ほどよりも濃い嗤みを浮かべて。

その表情を見て背筋に冷たいものが走ったのは無意識だった。

「ッ」

そして同時に気づく。

今はハッキリと見える彼の格好を見て。

「あれって―――」

純白のブレザーから覗く淡い水色のシャツ。

そしてブレザーとは対照的な漆黒のスラックスとネクタイ。

珍しいデザインの制服だ。

どこからどうみても帝光中の制服で間違いない。

数メートル離れたここからでもしっかりと見えるあのエンブレム。

黒糸で施された刺繍の文字が何よりの証拠だった。

「おい、どこに行く気だ？まさかこれで終わりってわけじゃねェよな？」

顔を上げた彼の表情は先ほどの薄嗤いすらを忘れさせる、凍り付くような無表情だった。

やっと事の状況を理解したのか残りの二人のその顔からは、青白く血の気が引いている。

「お、俺達が悪かった！」

「ああ！だから許してkッ―――！！」

「アァ？聞こえねーよッ！！」

後悔先に立たずとはまさにこのことを言うのだろう。

相手の謝罪はおろか、結果はものの数秒でついた。

先ほどまでの騒がしさは嘘のように今は妙な静けさだけがこの場を包んでいる。

そんな中、不意に彼がその場にしゃがみ込み何かを探すように男達の服をまさぐりだした。

「時化てんなー。碌なもん持ってねェ……お！あったあったw」

お目当ての物を見つけたのか、笑顔で立ち上がると手の中のそれを投げては受け止める動作を繰り返している。

オヤジ狩り、ならぬ同族狩りとでも言っておこう。

キラリと光ったあれは鍵だろうか？

「さっさと寄こしとけばこーならないですんだっつーの」

未だピクリとも動かない三人の男達に、彼は既に興味を無くしたようだ。