横浜の軍警で多分一番強い人【文スト】【男主】

ちゃんとした再会を ページ12

太宰side



井伏Aはポートマフィアの人間だ。
彼が警察なんかになるはずがない。


そんな慈愛に溢れた様な真似をするのは、天地がひっくり返ってもあり得ないはずだ。
そう思っていた。





＊＊＊＊
(以下回想)





『・・・、太宰。
三十分たっても帰ってこなかったら、俺のこと死んだと思って良いから。』


「何言ってるんですか、Aさん。
あんなところ一人で飛び込んだら僕が言うのもなんですが、ジサツ行為ですよ？」


『だってそれ以外に方法ないし・・・。』


そう言って彼はターゲットがいる会場へと臆することなく入っていく。
ついて来ようとする私を手で制し、その後ろに居る部下にも指示を出す。


『三十分だっても帰ってこなかったら、一応中を確認してから掃討作戦に変更。
その場合太宰の指示に従うように。』


そう言って会場に入っていった。


『山椒魚』


入る前にそう呟いた声がやけに耳に残った。


＊＊＊＊


それから三十分後。
私は扉を開けて、会場の中を見た。


『ッツーーーッ！！』


瞬間的に嫌悪感が込み上げる。
その場に転がっている死体ではなく、井伏A本人に対してだ。


会場のホールの中心で、彼はごろんと寝転がり笑っていた。
何処か壊れたような笑いではなく、明確な意思を持った笑い方だった。


まるで子供ように。
世界が素晴らしいと言わんばかりに。


ただ純粋に、笑っていた。






＊＊＊＊





彼は私とは真逆の性質だ。
多分彼は、世界が面白くて面白くてたまらないのだろう。


私にはそう見える。

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