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「お疲れ様!」

「おーA!見ててくれたんか?格好良かったやろ?俺!!」

「んや。見てへん。図書室で自習しとった」

「見てへんのんかぁーい!てか自習ってなんや。無い頭使うと頭痛くなんで」

「黙れ」

侑が駆け寄ってAにしなだれかかり、Aは重いー、なんて言いながらも笑顔で侑にすり寄っていた。

(気ばっか急いてもしょうがないで。落ち着き)

北さんの声が頭に響く。

(焦ってなんかない。こんな気分なんはAのせいやない。侑のせいでもない。俺がこんなんなせいや)

ならどうしたいん?

(分からへん……)

ふと視線を落とすと、Aの靴先が見え、顔を上げると心配そうに俺を見上げるA。

「どしたん?元気無い?練習上手くいかんかったん?」

「そうやで。今日はソイツポンコツやってん」

「えぇー?!侑イジメたんやろ!!」

「ちゃうわ!」

ギャンギャン喚く侑を一瞥して、Aは俺の頭を背伸びして撫でた。

「いいこいいこ。明日はきっと上手くいくよ」

「……ありがとうな」

隣で角名がニヤニヤしてんのが分かったが、俺はAに微笑みかけて歩き出した。

「おっくん機嫌悪いん?」

後ろでAが侑に囁きかけていた。おっくんなんて呼ばれんのいつぶりやろ。ちっこい頃はAはそう呼んでいたが、いつからか呼び捨てになっとった。

「知らん。なぁ、俺もあっくんて呼んでや。ちっこい頃みたいに」

「お腹減ったぁー!はよご飯食べたーい!」

「聞こえへんふりすんなや!誤魔化すの下手くそか!てか、こんな時間まで珍しいな。どしたん?」

「今日な、親出掛けとんねん。だから家帰っても誰もおらんのよ」

「そうなん?じゃあウチ寄ってったらええやん」

「え、突然行っても迷惑やろ」

「そんなことない。電話するし。待っとき」

侑は携帯を出して電話をかけ始めた。
侑の隣でAが俺を遠慮がちに見ていたが、俺はそれに答えてやることが出来ずに黙ったまま侑の横顔を見つめていた。

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作者名:ポロリ | 作成日時:2019年10月30日 11時

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