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この落ち着いた声も、
大きな手も、
広い背中も、
優しい眼差しも全て。
その唇も、身体さえ、他の誰かに渡したくない。
私だけの
何度キスをしても、何度身体を重ねたって
募っていくのは寂しさ。
愛されているのにね。
いつか七海は、
私じゃない
その唇でキスを落とすの。
身体を重ねるの。
その愛おしそうな優しい
心まで委ねてしまうのでしょう?
嗚呼、苦しい。
「………」
「貴方はいつになれば私に心を開いてくれるのですか?」
七海、…否健人の隣で寝ていると
不安なことばかりが頭をよぎるんだ。
「………」
「Aさん、……愛しています」
「……健人」
「…起きていたのですか」
「私が死んだら、新しい恋をしてね」
違う。
そんなこと思ってないでしょ。
新しい恋なんてしないで。
「?……急に何ですか」
「私を忘れて」
忘れないで。
ずっと、私を憶えていて。
「幸せになって」
私以外の子と幸せになんてなってほしくない。
私と幸せになって。
「………黙れ」
「それ以上言ったら怒りますよ」
悲しい?
苦しい?
感情が入り混じって、グシャグシャで
何で涙が溢れてくるのか自分でも分からなかった。
「………本当に、貴方は嘘が下手だ」
「っ〜…!」
「忘れることも、新しい恋愛も出来ませんよ」
隣の健人は、優しく私の髪を撫でる。
「生涯、貴方だけを」
私も、ずっと貴方だけを『アイシテル』。
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HATHUTA(プロフ) - 感動しました…!素敵なお話をありがとうございます (8月18日 0時) (レス) @page30 id: f9b555f004 (このIDを非表示/違反報告)
しゃちほこ(プロフ) - 素敵です…!! (2022年2月6日 20時) (レス) @page30 id: ecbd4790eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:若鷹 | 作成日時:2022年1月12日 22時