うまいの ページ33
ミウちゃんが訪ねてきた。
海外ロケのお土産を持って。
「トモくんのところに寄ってきたの?」
ミウちゃんはその質問に答えず
「ねぇ・・・Aさん...あたしね...新しい恋はじめたの」
ティーカップの淵を人差し指でなぞりながらそう言った。
「ミウね・・前から・・トモの他にも好きな人がいたの・・。今回のロケでその人とずっと一緒だったんだ・・・Aさんにお料理を習ったのも本当は彼に食べさせてあげたかったからなの」
私はなんて言っていいかわからず
ただ黙ってミウちゃんの話を聞いていた。
「トモくんには・・・」
「メールで伝えたよ」
「メールで・・?会わないの?」
「もし会おうって言われたら会うつもりでいたんだけど・・まだ返信ないし・・・それに・・・」
「それに?」
「私たち彼、彼女ってわけじゃなかったし・・」
「そうなの?」
「ん・・・なんとなく気が合って・・なんとなく一緒にいる・・・みたいな」
「それって彼、彼女じゃないの?」
「ん・・・ちょっと違うかな・・・」
ミウちゃんはティーカップを両手で包むようにして
そのまま口に運んだ
「それに・・・」
「それに?」
「今度の彼ね・・・うまいの」
「うまい?」
「だって・・・トモって・・・ただがむしゃらなだけなんだもん・・・」
(/ω\)。o○゚+。
なんて言葉をかけたらいいのかしら・・・
「Aさんならわかるでしょ・・・がむしゃらなだけじゃ満足できないもん」
「そうね・・・」
わからないとは言えない・・
「Aさんが教えてあげて・・・手取り足取り・・なんちゃって」
(//∇//)
そっ・・そんな事・・
「ミウね・・・今まで結構いい加減だったんだ。トモのこと彼氏だって断言しないのだって一人の人とだけ繋がっているんじゃなくて自由でいたかったからだし・・」
「でもこれからは新しい彼だけを・・・?」
「うん・・・」
ミウちゃんの顔に幸せそうな笑顔が広がった。
そんな彼女を見るのはなんとなく嬉しい。
「Aさん」
「ん?」
「これからもAさんと、こんなふうに連絡取り合う友達でいたいな・・いい?」
「もちろん」
「たまにはお料理も教えてくれる?」
「いいわよ」
「よかった」
それから彼女は2週間のあいだに起きた事をいろいろ話してくれた。
「Aさんってお姉さんみたい」
「お母さんじゃなくて?」
「うん・・お姉さん」
ミウちゃんの言葉に彼女の素直な気持ちが感じられて・・・私は嬉しかった。
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作者名:Luna | 作成日時:2014年2月23日 11時