【怠惰な王子と元教育係】瞳の邂逅【無償の………】

28*礼儀と信用と嫉妬 ページ31

フ「すこし小さくなったか」

ラ「渦………なに？」

気になってラピスはベッドから降りてAの横にやってきた
球体に向かって手を伸ばしてみると、すり抜けるだけで触れることはできなかった

フ「これはここら一体に空間図を簡略化したようなものだ
この渦が、私が研究中に作って飛んできた歪み、現在修復系魔術をかけて直しているところだ」

空間の歪みが発生していたのは世界のなかで本当にほんの一部
だが、ヴァリアー城の近くにあったためにそこに移動しようとしていたAの魔術が歪められたのだ
事例自体は過去にないものだったが、歪み自体はよくある種類のもので、修復に特別手間取るということはなさそうだ

フ「このペースなら2,3日もすれば修復は完了するな、しかし、この事例についてはしっかりと記録しておかなくてはな、何かの役に立つかもしれん」

探求心旺盛なAは魔術がわずかに絡むことならばどんな小さなことでも放っておかない
これも新たな魔術開発のタネになるかもしれないと、しっかりと記録しておくのだ

ラ「……………A」

フ「ん？なんだ？」

名前を呼ばれながらネグリジェをクイッとラピスに引っ張られたため、そちらへと顔を向ける
じっと瞳が交わるあい、僅かに静かな時が流れるそして、ラピスが声を出そうとしたその時だった


コンコンコンッ！！


忙しないノック音が聞こえ、入るぜ！という声とともに扉が勢いよく開かれる
慌てたように入ってきたその人物はベルとマーモンだった

ベ「姫っ！」

マ「ラピス！なにもされてないかい！？」

大方、ラピスがAと一緒に寝ているとザンザスにでも聞いて慌ててやってきたのだろう
息を切らし、部屋に入ってラピスの姿を見つければ、心配そうに駆け寄ってきた

フ「ベル、ノックをし、声をかけるまではいいが、開けるのはこちらの返答を聞いてからにしろ、その程度の礼儀もできんのか
マーモンも信用しろとまでは言わんが、いい加減私がラピスになにもしないということを理解しろ」

べ「だって、会って1日も経ってねえのに姫と一緒に寝るなんてずりーじゃん、お前どんだけ姫に気に入られてんだよ」

フ「なんだ？私にラピスを捕られて嫉妬か？」

まだカップに残っていた紅茶を飲みほし、ソーサーとともに魔術でワゴンへと移動させる
そして、ニヤリと不敵な笑みをベルに送れば、チッ、とベルはつまらなそうに舌打ちを打ったのだった

―――

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すし

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