【怠惰な王子と元教育係】瞳の邂逅【無償の………】

8＊驚きと疑い ページ11

緊急招集と言われただけあってか、ものの数分もしないうちにバタバタという足音とともにノック音が響く

「う゛お゛ぉぉぉい！！！クソボス、入るぜぇ！！」

バカでかい声とともになだれ込むように入ってくる集団
それらは間違いなくヴァリアー幹部全員だった

室内に入るなり彼らの目に入ったのは見たことのない人物であるA
我が物顔で室内にあるソファーに腰を掛け、キセルを吹かす姿は実に偉そうだった
そして、驚くことに、ザンザスにその憤怒の炎と圧縮し、強大な威力を持ち、相手を消し去ることのできる得物を向けられているにも関わらず、平然としているのだ

べ「ボス、誰こいつ？客？」

X「自分のことを魔術師だとほざくイカれた野郎だ」

べ「は？なにそれ」

ベルだけでなく、ほかの幹部の似たような反応を示し、先ほどまでむけていた驚きの視線のなかに疑いの視線を混ぜる
そんな見た目だけはAの知るヴァリアーと同一人物である彼らの心情の変化を面白く思ったのか、彼女は小さく笑った

フ「イカれた野郎とは失敬な話だな、私は事実を述べたまで、まぁいい、そもそもそれを説明するために貴様らを集めさせたのだ、さっさと本題に移らせてもらう」

その言葉で緊急招集の原因がAだと理解し、スクアーロは小さくザンザスに目配せをする
それに対し、ザンザスは黙って聞けというような視線を送り、それをほかの幹部も感じ取ったため、とりあえず大人しく聞くこととした

フ「ザンザスとラピスにはすでに告げたが、我が名はA・ファウスト、こことは同じであるが異なる世界のザンザスとの契約の下、ヴァリアーの専属魔術師に付く者だ」

マ「専属魔術師？しかもボスと契約だって？」

べ「じゃあなに？お前、いきなりボスの部屋に一人で押しかけてきたってことか？」

フ「ひとりではないぞ、ラピスとともに来た、おかげで説得に無駄な時間を要さずに済んだ」

ラピスとともに来たという言葉に幹部は強い反応を示す
一斉にラピスのほうを向いたかと思うと、ベルにいたっては駆け寄り、かなり心配そうな表情を見せた

べ「ちょ、姫！！あいつに変なことされなかった！？」

ラ「……………うん」

ル「あの人と一体どこで会ったの！？」

ラ「廊下、会う……………A、いきなり、現れる」

マ「いきなり？」

フ「あぁ、少々距離があったのでな、魔術で一気に詰めさせてもらった」

―――

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